『応急管理行政処罰裁量権基準』が2024年11月1日から施行
『安全生産法』、『職業病防治法』など安全生産に関する法令において行政処罰の裁量範囲が明確にされたが、具体的な裁量基準については関連規定に準じる。2010年10月1日に施行された『安全生産行政処罰自由裁量適用規則(試行)』では、裁量の考慮原則、適用規則などを定めているが、依然として原則的であった。それに代わり2023年11月1日より、『応急管理行政裁量権基準暫定規定』において細分化された処罰裁量基準が明確になった。2024年11月1日、『応急管理行政処罰裁量権基準』(以下『裁量権基準』という)が施行されている。
『裁量権基準』では主に233種類の具体的な状況の裁量細則が明確にされるとともに、軽微な違法行為に対して行政処罰を求めないことができる事項リストが定められている。
233種類の具体的な状況において、裁量基準で具体的な違法行為を記述するほか、関連法令及び処罰の根拠を引用し、違法行為の重大さに応じて裁量のランクを設定し、それに基づいて相応の処罰基準が定められている。裁量基準に関する規定のメリットは、あらゆる状況に対して数値化した指標が設定されているので、実行しやすい点である。
行政処分を行わない軽微な違法行為について、裁量基準では下記の7つの具体的な状況を定めている。
- 生産経営事業者が事故の潜在的危険に関する逐一チェック・管理状況をありのままに記録しなかったか、または従業員に通報しなかった場合。
- 生産経営事業者が規定通りに事故の潜在的危険に関する逐一チェック・管理統計分析表を報告しなかった場合。
- 生産経営事業者が緊急時対応マニュアルの作成前に、規定通りにリスクの識別、評価、緊急時対応資源の調査を行わなかった場合。
- 生産経営事業者が規定通りに緊急時対応マニュアルの審査を行わなかった場合。
- 事故リスクが周りの企業、人員に影響を与え得るにもかかわらず、生産経営事業者が事故リスクの性質、影響範囲と緊急時対応予防措置を周りの企業、人員に知らせなかった場合。
- 生産経営事業者が規定通りに緊急時対応マニュアルの評価を行わなかった場合。
- 生産経営事業者が緊急時対応マニュアルに規定された緊急時対応物資および装備を実行しなかった場合。
注意すべきことは、2021年から施行されている『行政処罰法』に規定された「初回違反不処罰」は、初回の違法、危害の結果が軽微、かつ速やかに改正したという3つの要件を同時に満たす必要があることだ。そのため、『裁量権基準』に規定された7つの具体的な状況に対して処罰を免除するためには、同様の条件を満たさなければならない。