投げやりな従業員、どう対処する?

張さんはA社で製品サポートエンジニアとして務めていた。2019年1月28日、A社は張さんに「職務不適格のため労働契約を解除する予定である。」ことを通告した。1月30日、張さんは人事部署に異議を訴えた。3月4日、A社は関連部署を組織し、張さんの訴えを評議したが、具体的な業務上の問題が多数挙げられ、改めて職務不適格であると判断した。3月4日と3月7日に、A社は張さんに対して「業績改善の指導を実施する」ことを通知したが、張さんはこれを拒否した。4月10日、A社は張さんに対して「依然として基準を満たさず、職務不適格である。また指導を拒否したため、会社は一方的に契約を解除することに決定した」と通知した。本件は労働仲裁、一審(解除を違法と認定)、二審(解除を合法と認定)を経て、終了した。(詳細については(2020)遼01民終2691号を参照)

実務において同様のケースは珍しくない。「勤務態度が悪い」、「業績が悪い」、「能力が低い」などと評価される“破れかぶれな”従業員に対して、人事部は薄氷を踏む思いで注意深く対応している。

問題の根本を考えれば、従業員の勤務態度が悪い(怠惰など)、業務能力不足、意地になって同僚の邪魔をする、家庭内トラブルの発生など、やる気をなくす原因となった事情は様々である。そのため、一律の方法で対処するのではなく、状況毎に分類し、対応する必要がある。

例えば、業務能力には問題がないが、家庭の事情など客観的な問題によってやる気を失った従業員に対して、人事部は業務部と協力し、心理カウンセリングを行うとともに、業務内容を適切に調整し、心理的影響がいち早く取り除けるよう手助けするべきである。

従業員の仕事に対する態度が消極的で怠惰であることを証明するのは難しい。重要なのは、定量化した業務指標や任務を設定し、時間的にもそれ管理・監督する。具体的には、(1)業務の流れや要求を明確にする。その上で、関係者の具体的な職責を設定する。(2)職責は汎用的なものではなく、できるだけ定量化した指標/任務及び相応の評価規則を設定する。(3)日報や週報を取り入れ、従業員が定期的に報告する習慣を身につけるよう監督する。これにより従業員に問題があるという事実を確かめることもできる。(4)定量化した指標/任務を経常的に統計、審査する。人数が多い場合、無作為抽出で審査しても良い。従業員の問題を適宜発見して対処する。根本的には、従業員を危機のない「ぬるま湯」につかったままの状態にしないこと。さもなくば時間の経過とともに、是正はより困難になる。

勤続年数が長い、意図的もしくは無意識に投げやりな態度をとり、その結果、会社から経済補償金を得て退職しようとする従業員に対する対処は特に慎重に行う必要がある。これまでの業績評価がそれほど悪くなければ、通常、職務不適格と認定されにくい。上述の措置以外に、遅刻、早退、勤務時間中に長時間離席、買い物やゲームを行う等、あるいはその他の規律違反行為があるか否かなど、多方面から従業員の行為を把握、監督し、適時、教育や懲罰を行うべきである。最終的には、是正して通常通り仕事に専念するか、目的を達成できず、気分を害し、自ら退職するか、重大な規律違反で会社に一方的に解雇されるかのいずれかになる。

企業にとって、投げやりな従業員は生産性が低いだけでなく、職場環境にも悪影響を及ぼす存在である。そのため、人事管理の角度から、やる気をなくした従業員を分類し、個々の状況に応じた対策を制定し、適時対処するべきである。