判決により取得した違約金に対して、領収書を発行すべきか

契約紛争事件において、裁判所が被告側を違約と認定した場合、被告に違約金の支払いを命じることが多い。被告が違約金を支払った後、原告に領収書の発行を求めた場合、原告は応じなければならないのか?

第一に、当事者一方が契約過失による賠償責任の支払いを命じられた場合、双方間の契約は不成立、無効、または取り消しになり、業務が実際に発生していないため、領収書の発行は行うべきではない。『発票管理方法実施細則』(2024年版)第29条には、「商品を購入・販売していない、サービスを提供していない、またはサービスを受けていない、その他の経営活動に従事していないにもかかわらず、領収書を発行する行為は実際の経営業務状況に一致しない虚偽の領収書発行行為にあたる」と規定している。実は、『発票管理方法実施細則』(2019年版)第26条には、「経営業務が発生していない場合は、一律に領収書を発行してはならない」と明確にしている。但し、支払者側の財務会計の観点から言えば、受領者側に受領書を発行させることはできる。

次に、被告が買い手である場合(通常、その一方的な契約解除により紛争が起こる)、2つの状況が存在する。1、売り手が全部又は一部を履行した場合、買い手が別途支払った違約金に対して、売り手が領収書を発行するものとする。『発票管理方法』第18条には、「商品を販売、サービスの提供およびその他の経営活動に従事する企業または個人は、対外的に発生した経営業務から代金を受け取ったときは、受領者が支払者に領収書を発行しなければならない。特別な状況の場合は、支払者から受領者へ領収書を発行する。」と規定している。『増値税暫定条例』第5条には、「納税者が課税販売行為を行った場合、売上高と本条例第2条に規定する税率に基づき、徴収する増値税額を計算し、売上税額とする。……」と規定している。第6条には、「売上高は、納税者による課税対象となる販売行為により購入者から受領した全ての対価と対価以外の費用とする。ただし受領した売上税額を含まない。」と規定している。『増値税暫定条例実施細則』第12条には、「条例第6条第1項にいう対価以外の費用とは、代価以外に購入者から受領する……違約金、延滞金、延払金利、賠償金……を含む」と規定している。このため、違約金は税務処理において代価以外の費用と定義され、受領者側は支払者側に領収書を発行しなければならない。2、売り手が不履行の場合、実際の経営業務が発生しないため、契約過失の状況によっては領収書を発行してはいけないが、受領書は発行することができる。

また、被告が売り手であれば、状況に応じた対処が必要である。『企業所得税収入の認識の若干問題に関する国家税務総局の通知』には、「販売した商品が品質不合格であるなどの理由から企業が販売価格を下げることは販売割引に該当する」と規定している。『発票管理方法実施細則』第26条と第27条の規定によると、書面領収書または電子領収書が発行された後に販売割引が発生した場合、売り手は赤字の領収書を発行しなければならない。上述の規定は、製品及びサービスの品質問題に起因する違約金が対象となる。売り手の納品遅延による違約金など他の違約行為による違約金の場合は、どうなるのか。このような状況に対する領収書発行根拠はないため、一般的に買い手は受領書を発行する。

全体的に言えば、領収書の発行側は取引の受領側でなければならない。取引以外に発生した違約金については、取引発生前に契約過失によって生じた違約金であっても、取引発生後に取引対象の品質と直接関係しない違約行為によって生じた違約金であっても、領収書を発行する法的根拠はない。また、『発票管理方法』第18条には、「特別な状況の場合は、支払側が受領側に領収書を発行する。」と規定している。「特別な状況」に、販売割引以外の事由で売り手が違約金を支払う必要があるという状況が含まれるのかについては、まだ公式の説明がない。実務上、買い手は領収書を発行せず、受領書を発行するというのが主な税務機関の観点である。