司法競売の入札に参加する者がいない場合、執行を申し立てた債権者はどうする?
債権者が強制執行を申し立てた後、債務者が不動産、動産またはその他の財産権(例えば、持分)を持っていることが分かった場合、裁判所は司法競売を行い、競売所得で債権者の債権を弁済することが多い。しかし、司法競売で流札となった場合、執行を申し立てた債権者(以下「債権者」という)はどうすれば良いのか。物件で借金を返済できるのだろうか?
『人民法院民事執行における財産の競売・換価に関する最高人民法院の規定(2020改正)』(以下『競売規定』という)の関連規定によると、司法競売開始後の流れは以下の通りである:
第1回目の競売公告が公表された後、債権者は競売に参加することができる。つまり、債権者は競売に参加することによって、債務者の財産を直接取得することができる。但し、実務において、債権者が競売に参加することはほぼ無い。
第1回目の競売において流札となった場合、債権者は競売対象で債務の弁済を求めることができ、物件による債務の弁済額は競売の留保価格となる。債権者が競売対象による債務の弁済を選択しない場合、流札後60日以内に値下げして第2回目の競売を行う。第2回目の競売において流札となった場合も、債権者は物件による債務の弁済を行うか否かの選択ができ、物件による債務の弁済額は値下げ後の留保価格となる。債権者が物件による債務の弁済を選択せず、競売対象が動産である場合、裁判所は競売対象に対して差し押さえを解除し、債務者に返却する。競売対象が不動産またはその他の財産権である場合、裁判所は60日以内に第3回目の競売を行う。第3回目の競売において流札となり、かつ債権者が当該不動産またはその他の財産権による債務の弁済を拒否する場合、裁判所は第3回目の競売終了日から7日以内に換価公告を出す。公告日から60日以内に第3回目の競売の留保価格で買い受ける者がおらず、かつ債権者が依然として当該財産により債務の弁済行うという意思表示をしない場合、原則として裁判所は差し押さえや凍結を解除し、当該財産を債務者に返却する。
上述の「留保価格」を確定する根拠は、『競売規定』第5条であり、即ち、「競売財産が評価を受けた場合、評価価格は第1回目の競売の留保価格となり、評価を受けていない場合、留保価格は人民法院が市価を参照して確定する。流札後に再度競売を行う際は、事情を考慮して保留価格を下げることができるが、毎回の値下げ額は前回の留保価格の20%を超えてはならない。」
以上のことから、司法競売において流札となった場合、債権者は物件による債務の弁済を選択することができる。第2回目の競売、第3回目の競売(不動産とその他の財産)において物件による債務の弁済額は通常、債権者にとってはより有利になる。
しかし、実務において、オンライン司法競売で第1回目の競売後、債権者が物件による債務の弁済を申請できるか否かについては、意見が一致しない
『人民法院オンライン司法競売の若干問題に関する最高人民法院の規定』(以下『オンライン競売規定』という)第26条は、「オンライン司法競売の入札期間中に入札に参加する者が一人もいない場合、流札となる。流札後30日以内に同じオンライン司法競売プラットフォームにより再度競売を行う。……」と規定している。そのため、「特別法が一般法に優先するという規則に基づき、オンライン競売の場合に、第1回目の流札となった後30日以内に再度競売を行うものとし、物件で債務の弁済を行うなどの方式を取ってはならない。」という意見がある。
判例から見て、司法実務における意見は比較的一致している。基本的には、『オンライン競売規定』では、オンライン競売で流札となった後に物件による債務の弁済を行うことを定めていないため、『オンライン競売規定』における流札後に物件により債務の弁済を行うための関連規定を適用することができる」というものである。最高人民法院の直近の関連判例ではいずれもこの意見を持っている。例えば、(2023)最高法執監32号裁定書には、「オンライン司法競売の第1回目の競売で流札となり、第2回目の競売で流札となり、換価もできない場合に、執行申立人は、競売により確定した留保価格で競売財産を受け入れて債務の弁済を申請することができる。」と指摘している。又、(2023)京執復288号執行判決書には「第1回目の競売で流札となった後、物件により債務を弁済することは違法ではない。」と明確に指摘している。