『関税法』が2024年12月1日より施行

中国は1985年に『輸出入関税条例』を公布し、施行後40年近く経った。その間に6回の改正が行われた。『立法法』第11条によると、税収に関する基本制度は法律により制定するしかない。『税関法』では関税を定めたが、関税に係る具体的な税率、徴収・管理は主に『輸出入関税条例』に基づき執行されている。又、市場の変化、特に電子商取引の発展は、本来の関税徴収に大きな挑戦をもたらした。2024年4月26日第14期全国人民代表大会常務委員会第9回会議で『関税法』が採択され、2024年12月1日から施行されることになった。

『関税法』は『輸出入関税条例』を基礎とする。大部分の条項が元の条文を踏襲し、以下の内容を新規追加した。

1、特殊税率を確定する規則及び税率調整のプロセス

『関税法』では、特殊税率を確定する規則及び相応の法定プロセスを新規追加した。第11条には、「関税税率の適用は、相応する原産地の規則と一致しなければならない。完全に1つの国または地域で獲得した貨物は、その国または地域を原産地とする。2つ以上の国または地域が生産に関与した貨物は、最後に実質的な変更を遂行した国または地域を原産地とする。国務院は、中華人民共和国が締結するか、又は共同で参加する国際条約、協定に基づいて原産地の確定について別途規定がある場合、その規定に従う。輸入貨物の原産地を具体的に確定については、本法及び国務院並びにその関連部門の規定に従い執行する。」と規定している。

『関税法』第15条では税率調整の法定プロセスを定めた。そのうち、中華人民共和国が世界貿易機関(WTO)加盟議定書に基づき承諾した最恵国関税率、関税割当率および輸出税率を調整する必要がある場合は、国務院関税規則委員会が提案し、国務院がそれを審査し、全国人民代表大会常務委員会に報告し決定を求める。

2、アンチダンピング関税、補助金相殺関税、保障措置関税、報復関税について、中華人民共和国と締結したか、または共同で参加した国際条約、協定における最恵国待遇条項または関税優遇条項を相手方が履行せず、対等の原則に基づき相応の措置を講じたなどの状況下においては、『関税法』第19条によると、納税者が証明資料を提供できない場合、または証明資料を提供したが、税関審査の結果、当該貨物が所定の措置を講じた国または地域を原産地とすることを排除できない場合、当該貨物は以下のいずれか高い税率を課される。(一)所定の措置を講じることによって当該貨物に課される最高税率に、法によって適用される税率を加算したもの。(二)普通税率。

3、関税の計算・徴収方式

『関税法』第23条には、「関税は従価税、従量税又は複合課税の形式で課される。従量税の場合、課税額は課税価格に比例税率を乗じて算出する。従量税の場合は、課税額は貨物の数量に定額税率を乗じて算出する。複合課税の場合、課税額は課税価格に比例税率を乗じたものと、貨物数量に定額税率を乗じたものとの和として算出する。」と規定している。

4、「不足額の補填」と「追徴」を区別しない

『輸出入関税条例』によると、輸出入貨物を通関した後、税関が関税徴収額の不足や徴収漏れを発見した場合、「1年補填、3年追徴+延滞金」として処理する。『関税法』第45条によると、3年以内に関税徴収額の不足や徴収漏れが発見された場合、税関が課税対象額の確認後、納税者が不足額を補填する。税関の所定期間内に不足額を補填しない場合、所定期間の満了日から日割りで延滞金を徴収する。

5、新たな行政処罰の根拠

主に第62条「納税者が合併、分立、解散、破産など特殊な状況下で税関に事前に報告しなかった場合の罰則」、第63条「不正な手段で税金の追納を妨害した場合、未納税額の50%以上5倍以下の罰金を科す」、第64条の「源泉徴収又は徴収すべき税額が徴収されなかった場合、源泉徴収又は徴収すべき税額の50%以上3倍以下の過料を科す」を含む。