『消費者権益保護法実施条例』が2024年7月1日より施行

インターネット経済の発展に伴い、消費者権益侵害行為に新しい変化が見られている。伝統的な消費分野では、虚偽宣伝、不公平なフォーマット条項、プリペイド消費による権利侵害などの問題が顕在化している。インターネットプラットフォーム分野では、価格差別、ビッグデータを利用した常連客いじめ、消費者の個人情報の過度収集、ライブコマースでの偽物の流通などの問題が注目を集めている。それに伴い、『消費者権益保護法実施条例』(以下『条例』という)が公布され、2024年7月1日から施行される。以下、いくつかの要点を簡単に紹介する。

  1. 「価格刺客」の禁止

『消費者権益保護法』では、消費者の知る権利を保障するために、販売者の価格明示義務を定めている。しかし、実務において原価を不正に釣り上げて大幅な割引をする、計量単位を利用して低価格と誤認させるなどの「価格刺客」(注:高価格の商品と同種の低価格の商品が混在させ、価格の明示により消費者をだまして購入させることを指す)行為は珍しくない。そのため、『条例』では以下の規則を明確にしている。(1)事業者は消費者の知らないうちに、同一商品またはサービスに対して同等の取引条件で異なる価格や料金基準を設定してはならない。(2)価格を表示するにあたり、国の関連規定に従い、商品の品名、価格と価格計算単位またはサービスの項目、内容、価格と価格計算方法などの情報を著しく明示し、値札・価格が統一されており、内容が真実かつ正確で、表示が明確でなければならない。(3)事業者が自動延長、自動料金更新などによりサービスを提供する場合、消費者がサービスを受ける前に、自動延長日や自動料金更新日までに、顕著な方式で消費者の注意を喚起しなければならない。

  1. ネット通販行為の規範化

近年、国は広告法、不正競争などの観点からネット通販行為を規範化している。『条例』では消費者権益保護の角度から下記の通り規定している。(1)プラットフォーム管理の観点から、ライブマーケティングプラットフォームは消費者権益保護制度を確立し、消費紛争解決メカニズムを明確にすることが義務付けられる。(2)販売主体の管理の観点から、ライブプラットフォームの運営者、ライブマーケティング担当者のライブ内容が商業広告になる場合、『広告法』の関連規定に基づき、広告掲載者、広告経営者または広告キャラクターの義務を履行しなければならない。また、『条例』では、ネット通販の返品規則と返品、交換、修理などの義務の有効期間は法令及び国の関連規定の最低要求に合致しなければならないことを規定している。

  1. プリペイド消費規則の規範化

現実において、オンラインプリペイド消費の問題が顕在化している。このため、『条例』では、事業者が前払金の受取により商品またはサービスを提供する場合、消費者と書面で契約を締結し、商品またはサービスの具体的な内容、代金や費用、前払金の返却方式、違約責任などについて約定しなければならないと規定している。

今後、「618」、「ダブル11」などのプリペイドショッピングのピーク時に、各プラットフォームはプリペイド消費について具体的な規則をポップアップして消費者の注意を喚起し、プラットフォームとしての責任を軽減する動きが予測される。

  1. 個人情報収集の境界

『条例』によると、事業者は法により消費者の個人情報を保護しなければならない、また事業者は商品やサービスを提供する際、消費者の個人情報を過度に収集してはならず、一括授権、黙認授権などの方法を用い、経営活動と直接関係のない個人情報を収集、またはその使用を消費者に強制的に同意させたり、別の形式を用い強制的に同意させたりしてはならない、さらに事業者は消費者の生体認証、宗教信仰、特定身分、医療健康、金融口座、行動履歴などの情報及び14歳未満の未成年の個人情報などのセンシティブ個人情報を処理する場合、関連法律、行政法規の規定に合致しなければならないとしている。