改正後の『企業情報公示暫定条例』が2024年5月1日より施行

2024年3月10日、国務院は『一部の行政法規の改正と廃止に関する国務院の決定』を公布し、その中で『企業情報公示暫定条例』(以下『新条例』という)の内容が一部改正された。そのポイントは以下の通りである。

  1. 条例違反行為に対する市場監督管理部門の調査処分権の新規追加。

『新条例』では第16条を新規追加し、下記のように定めた。市場監督管理部門は条例違反の疑いがある行為を調査処分する権利を有する。具体的な職権は以下の通りである。

(1)企業の経営場所への立ち入り、現場検査の実施。

(2)企業の経営活動に係る契約、手形、帳簿及びその他の資料を閲覧、複製、収集。

(3)企業の経営活動に関係する組織・個人に対する調査。

(4)違法の疑いがある企業の銀行口座の法に基づく調査。

(5)法律、行政法規で定められたその他の職権。

企業の銀行口座調査の職権において、「市場監督管理部門の主要責任者の承認を得ておく必要がある」という制限を加えた。

条項の新規追加により、市場監督管理部門は企業の公示行為に対して自主的法律執行権が与えられた。一方、企業においては条例に規定された公示義務と要求に関して、より一層の注意を払わなければならない。

  1. 経営異常名簿の管理を改正・整備と、行政処分の新規追加。

旧条例によると、規定通りに公示しない企業は経営異常名簿に記載される。法により3年間公示しなかった場合は、重大違法企業名簿に記載される。重大違法企業名簿に記載後5年以内に再犯がない場合は、当該名簿から除外される。

『新条例』ではより厳格な規定を加えた。

(1)規定通りに公示しない企業は経営異常名簿に記載され、行政処分を受ける。2年連続で規定通りに年度報告を提出せず、経営異常名簿に記載された後も是正せず、かつ登録された住所や経営場所を通じて連絡が取れない場合、営業許可証を取り上げる。

(2)公示した情報が真実を隠蔽し、または虚偽があり、法律、行政法規に規定がある場合は、規定通りに処理する。規定がない場合は、市場監督管理部門は是正を命じ、1万元以上5万元以下の過料を科す。情状が深刻な場合、5万元以上20万元以下の過料を科し、市場監督管理の重大違法・信用喪失名簿に記載し、かつ営業許可証を取り上げることができる。

注意すべきことは、『新条例』では、「5年以内に再犯しない場合は、名簿から除外する」旨の規定が削除された点だ。なぜ削除されたかというと、2023年5月1日より施行されている『信用喪失行為是正後の信用情報修復管理方法(試行)』では、信用喪失情報を如何に削除または終了するかについて詳しく規定したからである。つまり、企業が積極的に是正すれば、名簿から外れることが可能である。