改正後の『中華人民共和国会社法』が2024年7月1日より施行

『会社法』は1993年12月29日に可決されて以来、何度も改正されてきた。2023年12月29日、第14期全国人民代表大会常務委員会第7回会議では、新たに改正された『会社法』(以下『新会社法』という)を採決し、2024年7月1日より施行される予定になっている。『新会社法』では会社の資本制度、株主の出資責任、小株主権益への保護、組織機構、会社決議の効力、会社登記などにおいて、現行の『会社法』と比較し、大きく改正を行っている。

今回は資本制度及び株主の出資責任に関する改正ポイントを重点的に紹介する。

条項 事項 改正ポイント
第48条 出資形態 貨幣、実物、知的財産権、土地使用権以外に、持分、債権の2つの出資形態を新たに追加した。
第47条 出資額の払い込み期限 株主は会社定款の規定に従い会社設立日から5年以内に登録資本金を全額払い込まなければならない。
第49条

第50条

期限までに出資金を全額納付しない場合の賠償責任 •株主が期限までに出資金を全額納付しない場合、会社に全額納付する他、これによる会社の損失に対して賠償責任を負わなければならない。

•有限責任会社の設立時に、株主が会社定款の規定に従い実際に出資金を納付していないか、または実際に出資した非貨幣財産の実際の価額が払込を引き受けた出資額より著しく低い場合は、設立時の他の株主が当該株主と出資不足の範囲内で連帯責任を負う。

第51条 取締役会の支払督促義務及び不履行による責任 •有限責任会社成立後、取締役会は株主の出資状況に対して子細に調査を行うものとする。株主が会社定款で規定された出資金を期限までに全額納付していないことを発見した場合、会社は当該株主に書面で支払督促状を出し、出資を督促する。

•取締役会が前項で規定された義務を履行せず、これによって会社に損失をもたらした場合は、責任のある取締役は賠償責任を負わなければならない。

第52条 株主失権制度 •株主が会社定款で定められた出資期限までに出資金を納付しておらず、会社が書面で督促状を出して出資を督促する場合は、会社は督促状において納付の猶予期間を明記することができる(会社が督促状を出した日から60日を下回ってはならない)。猶予期間満了後も、株主が依然として出資義務を履行しない場合は、会社は取締役会の決議を経て、当該株主に失権通知を出すことができる。通知は書面で出さなければならない。通知が出される日から、当該株主は未納付の出資金に相応する持分を喪失する。

•上述の規定により喪失した持分については法に基づき譲渡するか、またはそれに応じて登録資本金を減少させ、かつ当該持分を抹消しなければならない。6ヶ月以内に譲渡または抹消しない場合、会社の他の株主はその出資割合に応じて相応の出資金を全額納付する。

•株主は失権に異議を申し立てる場合、失権通知の受領日から30日以内に人民法院に訴訟を提起するものとする。

第53条 出資の払戻による責任 株主が出資の払戻を受けた場合は、それを返還しなければならない。会社に損失をもたらした場合、責任のある取締役、監事、高級管理職は当該株主と連帯して賠償責任を負わなければならない。
第54条 出資期限の前倒規則 支払期日が到来した債務を会社が返済できない場合、会社自らまたは支払期日が到来した債務の債権者は、資本金の払い込み期限にまだ達していない株主に対し、資本金の前払いを要求する権利がある。

又、『新会社法』第55条、第56条によると、出資証明書、株主名簿の記載事項には「株主の氏名又は名称、払込を引き受けた出資額及び実際に払い込んだ出資額、出資形態及び出資期日」が含まれる。