業務中のアルコール過剰摂取による死傷は、労災に該当するか

年末が近づくにつれて、宴会や忘年会などのさまざまなイベントが相次いで開催される。宴会が盛り上がる中で、お酒に弱い人がいることは免れない。少し酔っ払う程度ならば特に問題ないが、病院に運び込まれる程、酔っ払い、さらには急死するケースもある。では、業務上の事由で宴会に参加し、アルコールの過剰摂取により死傷場合は、労災に該当するか?

一概に結論づけることはできないため、ケースバイケースで討論する必要がある。

まず、「酩酊状態」の基準に達していれば、労災には該当しない。『社会保険法』第37条及び『労災保険条例』第16条のいずれにおいても、過剰摂取により業務中に死傷した場合、労災として認定、及びその扱いをすることはないと定めている。「酩酊状態」の認定基準については、『<社会保険法>の実施の若干規定』第10条の規定に基づき、『運転手の血液、呼気アルコール含有量の閾値と検査』(GB19522-2004)により判断される。GB19522-2004によると、血液中のアルコール含有量≧80mg/100mlの場合は、「酩酊状態」になる。そのため、宴会などのビジネス活動における飲酒の後、血液中のアルコール含有量≧80mg/100mlの場合は、労災を適用する可能性は排除される。

次に、「酩酊状態」の基準に達していない場合、司法実務において事件の実態、主に職責と関係があるか否かによって個別に判断する必要があり、必ずしも労災と認定されるとは限らない。職責と関係があるか否かを判断する要素は以下の通りである。

(1)会社からの指示を受けたか否か。例えば、(2018)遼01行終1958号事件において、裁判所は「出張中に他人と食事やカラオケをする行為は、会社からの指示による業務ではなく、業務時間外の個人的な行為に該当する。」と認定した。

(2)職責範囲内であるか否か。例えば、(2015)粤高法行申字第171号事件において、裁判所は「従業員が会社の忘年会に参加して飲み過ぎる行為はすでに職責範囲の要求を超えており、個人的な行為に該当する。」と認定した。

(3)業務時間の合理的な延長にあるか否か。例えば、(2022)03行終97号事件において、裁判所は「宴会の費用を会社が負担したので、従業員が当該宴会に参加することは業務時間に対する合理的な延長にあたるが、宴会後に参加したカラオケは、会社負担ではないため、業務時間に対する合理的な延長の範疇を超えている。」と認定した。

最後に、労災と認定されないとしても、会社が完全に免責になるわけではない。その理由は、もし従業員が確かに業務上の事由による接待の席で飲酒し、酩酊状態に達しているが、労災保険が賠償を行わない場合は、会社は状況によって権利侵害責任を負う可能性がある。またもう一方で、労災認定は社会保障部門が行うため、裁判所に覆されるケースがある。裁判所に覆された場合、会社は最終的に責任を負わなければならない。

以上のことから、従業員の立場においては、「身体が第一」なので、ビジネス活動において、いわゆる「一気に飲み干す」など強がりのために不要な代価を払うことは禁物である。使用者の立場においては、従業員の健康のため、また法的リスク低減のために、教育において文明的なビジネスの観念を徹底させるとともに、関連活動を行う際は、合理的な方法で飲酒は適量にするよう従業員への注意喚起を行うことを提案する。