役職定年制は、中国でも導入可能?
企業の設立年数が長くなるほど、年配管理者は多くなる。それと同時に、後継者や若手社員にも昇進やトレーニングの機会も必要である。「1本の大根に一つの穴」という諺の言うように、如何にして若い世代のための「持ち場」を作るかは企業の悩みの種になっている。
日本では、多くの会社は役職定年制を採用している。つまり、一定の年齢に達した役職者は役職から離れ、補佐やその他の専門職に配転される。その制度の目的は、「後継者」により長い引き継ぎ期間とより多くの成長の機会を与えること、そして他の従業員のための「持ち場」をあけ、昇進の余地を与えることである。では、中国で設立されている会社の場合、役職定年制の導入は可能なのか。
実は、中国の一部の国有企業や銀行でも、類似の制度があり、通常「退居二線制度」と呼ばれている。つまり、高級管理者は定年退職の2年前から管理職を離れ、後継者の補佐となる。従って、管理者が定年退職を待たずに役職を退くことは中国では決して目新しいものではないため、ゼロから認識して受け入れる必要もない。
しかし、役職定年制の導入を検討する際、会社は実情に合わせて、当該制度を効果的に実施できるか及びその効果に大きく影響を与えるいくつかの重要な課題について予め熟慮する必要がある。業界、経営状況及び人材の配置などに基づき、下記の要素を含むが、これらに限定されない。
(1)役職定年制の対象者。つまり、どの階級や職位を対象とするか?例外的な対応を要する特別な職位や人員がいるか否か?
(2)役職定年制の開始日は定年退職の何年前に設定すればよいのか?職務毎にするのか、それとも一律にするか?役職定年制には人間関係の対応における欠点も隠れているので、役職定年制の対象者と後継者との関係への対応、部下の業務報告などの諸要素を考慮する必要がある。早ければ早いほどいいというわけではない。
(3)役職定年後の賃金は如何に設定すればよいのか?例えば、従来の職務手当は一律して取り消すのか?それとも他の柔軟な方法を取るべきか?
実際に役職定年制の構築を導入する際は、法的リスク防止の角度から、以下のポイントに留意するよう勧める。
第一に、情理にかなう役職定年制を制定し、法による民主的手続きを履行すること。
一般的な方法としては、役職定年制を退職制度の構成部分として確立する。司法実務において、民主的手続きを履行し、かつ明らかに不合理的ではない制度であれば、通常その効力は認められる。
また役職定年制の合理性についてのルールを設定する際は、以下の2点に注意を払う必要がある。一点目は、賃金の不利益変更の幅が大きすぎると、不合理と認定される可能性がある。また、役職定年対象者の積極性と協調性に影響を与える可能性も高い。二つ目は、役職から外すことにより、女性管理者が管理職から非管理職に変更された場合、その定年退職年齢に直接影響するため、各要素と基準を慎重に設定する必要がある。
第二に、役職定年制を実行する際に注意すべき事項ついて。
注意事項は主に下記の通りである。
(1)役職定年対象者、後任者及び直属部下の状況を事前に調査して把握する。重要な職位に対しては事前にリスクの対策を練る必要がある。
(2)役職定年対象者と面談をしっかり行い、その心情と提案を聴取し、以前の実績を肯定した上で、その経験と技能の発揮、後任者への協力や会社から手配されたその他の仕事の遂行を促す。
(3)最後に、役職定年対象者と後任者が並存する期間中は、双方及び直属部下の業務交流などの状況に細心の注意を払い、揉め事が生じた場合は、直ちに適切な方法で介入や調整を行う。