『スパイ防止法』改正後、外国人の中国における活動の注意点

新たに改正された『スパイ防止法』が2023年7月1日から施行される。新『スパイ防止法』はスパイ行為の定義を拡大し、「スパイ組織及びその代理人に身を寄せる」、「国家機関、機密関係組織または重要情報インフラなどに対するサイバー攻撃、侵入、妨害、制御、破壊などの活動」等の新たなスパイ行為の追加とともに、保護対象の範囲を「国家の秘密、情報」から「その他の国家の安全と利益にかかわる文書、データ、資料、物品」に拡大した。

『スパイ防止法』改正案が登場する前から、個別の外国籍を持つ人がスパイ行為の疑いで逮捕されたり、個別の外資企業がオフィス捜索を受けたという報道で大騒ぎとなった。このような状況下において、一部の外国人は不安や焦りを感じているが、実際は、スパイ行為を実施する故意がない場合、外国人は業務活動や生活において必要最低限の注意を払う限り、完全に関連リスクを回避することができる。

まず、外国人は反スパイ意識を確立し、業務活動においてやり取りの対象、事項、方式に注意しなければならない。具体的には、

(1)国家機密、インフォメーション*及び営業機密に係りうる人物に対して法律研修を実施し、スパイ行為識別の意識を確立する。

(2)企業内部または個人が法に基づいて接触した情報を整理し、国家の安全、公共の利益またはその他の個人、組織の合法的権益を害し得る情報を列挙し、情報安全弁を設置する

(3)情報収集、例えば、調査研究を手配する際は(市場や技術など)、調査研究の対象、方式、情報の深さなどを管理、監督に注意を払う。

(4)ビジネス上の社交(業界活動、政府活動等)において、相手が重点分野、センシティブ業界関係者であれば、相手との情報開示・受領の適切性について注意を払い、協賛の依頼を受けたときは、協賛の依頼者又は対象者の背景、主な活動などを慎重に確認する。

(5)海外関連会社と通信を行うときは、個人情報及びデータの越境に関するコンプライアンス審査のほか、その内容が国家秘密又は他人の営業秘密(秘密保持義務に違反しないものを除く)に係わるか否かについて必要な審査を行うべきである。

次に、日常生活においては、政治やセンシティブな分野に関する話題に関与しないようにしなければならない。センシティブな話題の議論に出会ったら、自発的に離れ、関連する話題に関する交流は避けるべきである。

最後に、中国では暗号化通信器材の出入国について明確な法律規定がある。出入国時は規定違反となる通信器材の携帯を避けるべきである。

*インフォメーション:国家の安全と利益にかかわる、まだ公開されていない、または関連規定により公開すべきでない事項。(『国外のために国家の秘密・インフォメーションを窃取、密偵、買収、違法提供する事件の審理における具体的な法律応用の若干問題に関する解釈』第1条)