「代替〇〇〇」は得策か、それとも下策か?

「代替LV」、「代替SK-II」などを見ると、関連製品の品質やグレードが「LV」「SK-II」に近いと本能的に感じるのではないだろうか。そのため、一部の企業は「代替〇〇〇」という言葉に宣伝の重点を置き、自社の製品を業界内の有名ブランドと直接的にリンクさせる。このようにして有名ブランドにただ乗りして、顧客を引きつけて市場を拡大する目的を達成する。さらに、直接「代替〇〇〇」を商標として出願する企業もある。

ビジネスの観点から見て、「代替〇〇〇」は一円も使わず他社の商品に便乗する「得策」だ。しかし、実際には多くの法的リスクが潜んでおり、最終的に割に合わない結果になる可能性が極めて高い。

商標登録の観点から見て、「代替〇〇〇」は通常、顕著性に欠けることにより商標登録を拒絶される。商標法第11条の規定によると、登録出願の対象となる商標は顕著な特徴を有するものとする。「代替母乳」など特定の物質と代替するか、「代替LV」、「代替SK-II」など特定のブランドと代替するかを問わず、商標の文字を見ても、どの企業を指すのか確定できず、商品の出所を区別する役割を果たさない。又、一般消費者もそれを商標として認識しにくいため、係る商標は顕著性に欠けるとして拒絶されることが多い。代替する元のブランドが登録済みの商標である場合は、通常、先行商標や類似商標の存在を理由に拒絶される。

では、商標登録を出願せず、広告宣伝だけを行った場合はどうなるか?やはり依然として法律規定に違反するリスクがある。

『広告法』第28条には、「広告が虚偽又は誤解を招く内容により消費者を詐欺、ミスリードした場合は、虚偽広告になる。」と規定している。当事者が「〇〇〇の代替ができる」ことを証明する証拠を提出できない場合、虚偽広告として処分を受けるリスクがある。例えば、諸市監検処〔2019〕498号決定書において、市の監督局は、「当事者は「海外のSwagelok、Parker Legris、FITOK、STAUFF、Hamlet、Etonなどのブランド業界のトップ地位を完全に代替できる」という旨の広告を発表した。しかし、上述のSwagelok、Parker Legris、FITOK、STAUFF、Hamlet、Etoはいずれも海外の知名会社のブランドであり、当事者は上記の内容と証明資料を提供することができない。」と認定した。

又、特定の物質や技術を代替できる旨の広告宣伝も虚偽広告又は虚偽宣伝と認定されやすい。若干の実例をあげよう。

『広告法』第20条には、「マスメディア又は公共の場所において母乳の全部又は一部を代替できると公言する乳児用乳製品、飲料及びその他の食品に係る広告の掲載を禁止する。」と規定している。従って、明示か又は暗黙かを問わず、「調合乳が母乳を代替できる」という広告出した時点で、処分を受けるリスクが発生する。

京平市監処字〔2019〕第336号決定書において、当事者が自ら作成した「奇関臍療」のチラシで宣言した「奇関、臍治療基準の制定者と指導者…完璧に点滴を代替する」などの内容について、市の監督局は、当事者が上記の広告宣伝内容の合法性及び有効性を証明する根拠を提出できないことを理由に処分を下した。

滬市監黄処字(2019)第012019001019号決定書において、市の監督局は、「当事者が1688プラットフォームにより販売する製品のウェブページにおいて「日本安心無痕下着……接着技術の最新位置制御接着、接着剤の代替」などの広告内容を掲載しているが、当該広告内容に係る証拠材料を提出できないため、虚偽広告に当たる」と認定した。

なお、「代替〇〇〇」は権利侵害として訴えられるリスクもある。(2021)粤1971民初35261号の案件において、裁判所は、「原告と被告は競争関係にある事業者であり、「〇〇〇」は原告の一定の影響力をもつ商号である。被告が生産・販売する商品の名称において「代替〇〇〇」を使って商品宣伝を行うことは、原告の取引機会を奪い、原告の競争優位性を損なう可能性があるため、不正競争行為に当たる。」と認定した。

以上のことから、事業者はビジネス活動において「代替〇〇〇」という表現の使用は慎重に行うべきである。油断したら、全て失敗に終わる可能性がある。また、同業他者が「代替〇〇〇」という表現で自社の商品に便乗していることを発見した場合は、実情に基づいて、上述の分析により適切な権利保護手段を適用してよい。