保証期間内にメンテナンス会社が閉鎖された場合、どうすれば良いのか?
2020年7月、FさんはN社からスマホフィルムを購入、3年の無償保証期間を約定した。1年後、FさんはN社の株主Lさんに修理サービスを求めたところ、Lさんは「N社は登録抹消されており、〇〇ブランドによる代理店授権も取り消された。〇〇社に対して修理サービスを申請すれば良い」と伝えられた。しかし結局、〇〇社においてFさんの無償保証に係る電子記録は見つからず、FさんとLさんは協議により解決できず、訴訟に至った。
『会社法』、『破産法』及び関連司法解釈の規定によると、会社は独立した法人主体であるため、株主は法に従い閉鎖手続を行った場合、別途責任を負う必要はない。従って、メンテナンス会社の登録が抹消された場合、企業が如何に権利を守るかに苦慮することが多い。
「問題があるところには、解決策も必ずある」。本件において、裁判所の調査で、N社がFさんのために無償保証登録手続を行っていなかったことが判明したため、最終的に「N社の唯一の株主Lさんが相応の違約責任を負う」と判決を下した((2022)津03民終1380号)。但し、本件は数少ない特殊ケースの一つである。企業は関連するリスクをできる限り軽減させるため、取引を行う前に、あらかじめ適切な予防措置を講じるべきである。考慮すべき予防措置は下記のとおりである。
まずは、取引を行う前に、主体資格、許可証、訴訟歴などを含む取引相手の信用調査を行う。特に長期的なメンテナンスサービスの提供が必要な場合は、取引相手方を慎重に選択する必要がある。
次に、締約時には支払期限及び付加条件に注意を払う。例えば品質保証金を例にあげると、実務では総価額の3%~5%が一般的である。もし個別取引において、保証義務が取引の重要な一部を占める場合は、保証金の割合を十分に考慮する必要がある。例えば、エレベータを購入する場合、メンテナンス義務がきちんと履行されるかはとても重要なポイントである。そのため合計額に無償保証期間が3年間含まれている場合、保証金の割合を設定する際に3年間のメンテナンスサービスの相場価格を考慮し、未到来の無償保証期間分に相当する保証金の控除方法を明確に約定しておく必要がある。また取引上の双方の地位など要素に応じて、可能な限り取引相手方の出資者に対して連帯保証を要求することは、相手方への拘束力を高める手段の一つとなる。
又、契約履行の際には、常に取引相手方の経営状況には細心の注意を払う。例えば、半年ごとに取引相手方に対して経営状況/信用審査を行う。取引相手方が違約した場合は、違約状況によって確認の頻度を増やす。
最後に、もし取引相手方が登録抹消を行った場合は、企業は以下の3つのステップに従い対応することを提案する。
ステップ1 登録抹消の原因を把握する。『会社法』第180条では5つの解散事由が定められているが、大きく3つに分けられる。(1)自発的な解散、かつ承継側が存在する。つまり、吸収合併又は分立される。(2)自発的に解散、かつ承継側が存在しない。例えば、経営期限満了、株主総会決議など。(3)解散に追い込まれた。つまり、営業許可証の失効、取消、閉鎖命令を受けた。
ステップ2 状況に応じて相応の対策を講じる。解散事由(1)の場合は、履行を継続させるために、権利義務の承継について承継側と補充協議書を締結する。解散事由(2)、(3)の場合は、承継側が存在しない。そのため相手方の株主が法に基づいた清算手続を完了していない状況では、相手方の株主に対して追加責任を負わせることができない。このような場合は、企業は未結了の業務について清算チームへの確認が必要となる。
ステップ3 承継側が存在せず、かつ取引相手方の株主又は清算チームが法に基づいた清算手続を行わない場合は、企業は3つの角度から権利保護対策を選択することができる。(1)文頭の事案のように、契約紛争を理由に抹消登録済みの取引相手方又はその株主を訴え、株主に連帯責任を負わせる。(2)株主が債権者の利益を損ねた責任紛争を理由に、抹消登録済みの取引相手方の株主を訴する(例えば、(2022)京03民終2430号)。(3)清算グループメンバーの責任紛争を理由に、抹消登録済みの取引相手方の清算グループメンバーを訴える(例えば、(2015)穗中法民二終字第1130号)。