『中華人民共和国人口・計画生育法(2021改正)』の影響——各地では「育児休暇」を相次いで公布

2021年8月20日より施行されている『中華人民共和国人口・計画生育法(2021改正)』第25条では、「国は、条件を満たす地方に育児休暇の導入を支持する。」と規定している。

各地方では相次いでそれぞれの人口・計画生育条例を改正したり、関連意見を制定したりすることにより、「育児休暇」関連規定を公布した。2021年11月25日に「上海市人口と計画生育条例」(改正版)を公布し、女性従業員の生育休暇を30日から60日に延長され、また育児休暇が設けられ、子供が3歳未満の子供を持つ夫婦にそれぞれ年5日間の育児休暇が与えられる。それ以外に、江西、四川、江蘇、貴州、吉林、山西、黒龍江,遼寧、湖南、湖北、陝西、安徽、海南、寧夏を含む15省でも、当地の人口・計画生育条例改正案または関連意見が公布された。他の省・市・自治区でも相次いで意見募集稿を公布し、近い将来正式版が打ち出される見込みである。

「育児休暇」に関する規定を公布した各地域の規定の全体像からみてると育児休暇とは主に、3歳未満の子供を持つ夫婦双方に対して、使用者が一定日数の育児休暇を付与することを指す。育児休暇の具体的な日数は地域によって異なる。

育児休暇を公布した各地の関連規定から鑑みて、以下の問題を明確にする必要がある。

1、育児休暇は強制的であるか?

地域によって異なる。例えば、『四川省人口・計画生育条例』第24条によると、育児休暇の付与は強制である。『江蘇省婦女権益保障条例』(2018年施行)第26条第2項によると、妻の産休期間中、夫の使用者が夫に対して5日以上の共同育児休暇を享受させることが奨励される。ここでいう育児休暇の付与は奨励である。今年9月より施行されている『江蘇省人口・計画生育条例』改正案によると、育児休暇は省政府が別途規定することができる。当該規定では、江蘇省は姿勢を明確に示していない。

2、使用者は、育児休暇の取得に対して、一定の勤続年数を前提条件とすることは可能か?

国の立法目的、育児休暇や出産介護休暇など性質が類似する休暇から考えてみると、一定の勤続年数があるを育児休暇の取得条件とすること(例えば、入社満1年になる者は育児休暇を取得できるなど)は認められないと思われる。特に使用者の所在地で、育児休暇が強制的に付与することが定められている場合はなおさらである。

3、育児休暇には休日・祝日が含まれるか?

育児休暇を付与する目的は「親子のコミュニケーション」であり、現行の規定では、育児休暇を一回で消化するという要求はない。従って、育児休暇は休日・祝日を含まない労働日に限ると解されるべきだと考えられる。この点について、四川省衛生健康委員会による『<四川省人口・計画生育条例>施行における「育児休暇」関連問題に関する指導意見』でも上記の観点を示されている。