市販商品に自社のロゴを貼り付けて、顧客に贈呈するのは違法になるか?
M社は創立20周年記念式典を開催を予定しており、社内での話し合いにより企画部が、水筒を購入し、M社のロゴをつけて記念品として顧客及び提携先に贈呈することを提案した。法的リスクの回避を考慮し、当該提案に疑問を抱く者もいる。
通常、商品の外観表示は主に3つの役割を果たす。①商標又は意匠により商品の出所を区分する。②消費者による製造物責任の追及を可能にする。③公平な競争及び消費者の知る権利を保護する。
従って、市販商品に自社ロゴ又は商標(以下「ロゴ」と総称する)を付けて贈呈又は販売する場合の法的リスクは、主に以下の点である。
第一に、自社ロゴの使用が適法であるか否か。自社の登録商標を市販商品につける場合は、2つのリスクを考慮すべきである。(1)登録商標につき商品/サービスの指定範囲が決まっている。登録商標が当該商品をカバーしていない場合は、市場監督管理部門に「登録商標の使用が規範に従っていない」と認定される可能性がある。(2)企業が登録登記を行うときに、経営範囲が確定的でなければならない。市販商品の生産又は販売を行うには相応の資格を具備しなければならないという前提下で、当該市販商品の包装に自社ロゴをつけることによって「当該商品はロゴ権利者が生産又は販売したものである」と消費者の誤解を招く場合は、違法経営と認定される。
第二に、製品品質責任が生じるか否か。『製品品質法』第27条第2項には、「製品又はその包装上の表示は必ず真実で、中国語で明記された製品名称、生産工場名称及び工場住所を有する。」と規定している。製品の表示により、製品品質責任を負う生産者の名称と住所が示されるので、不適切な方法により自社ロゴを他社の製品に貼り付ける行為は、第三者の混乱を招き、ロゴ権利者を製品の生産者又は販売者と誤認する可能性があり、品質責任紛争が起こったときに、ロゴ権利者が責任を追及される。
第三に、他人の商標専用権を侵害したことによって商品/サービスの出所が混同される、又は「関連性がある」と第三者の誤解を招くか否か。『商標法』第57条第5項の規定によると、商標登録者の許諾を得ずに、その登録商標を変更し、変更後の商標を使用した商品を市場に投入する場合は、登録商標専用権の侵害となる。例えば、会場内での飲み物を提供するつもりで飲料水を購入した後、商品広告と看做されることを避けるため、又、自社のロゴを宣伝するために、それらの飲み物の包装を外し、自社ロゴを貼り付け、会場内で配布した場合は、当該飲料水の生産者の商標権を侵害する可能性がある。一歩譲って、仮にそれらの飲み物の包装を外さずに自社ロゴを直接貼り付ける、つまり、二つの表示を同一製品の外観に共存させる場合は、表示のサイズ、内容、位置などによって、『不正競争防止法』第6条第4項の「他人の商品である、又は他人と特定の関連性があるという誤認を生じさせるその他の混同行為」にあたる可能性が高い。
注意すべきことは主に2つの理由の理由から景品とするかを問わず、関連リスクがあることには特に変わりない。①判決では、通常、裁判所は「景品と販売行為は密接な関係があり、実質的に有償売買の関係にある。」と認定される((2018)粤03民初352号判決)。②景品は直接に販売に用いられないものの、依然として市場に流通するので、受贈者又は他の受領者のその出所に対する誤解を招きかねない。
上記の纏めとして、自社ロゴを他社の市販商品につける場合は、以下のポイントに注意したほうがよい。
(1)市販商品の外観を変更せず、表示内容を隠さないこと。
(2)自社ロゴの表示方法に注意する。「〇〇会社〇〇周年記念」などの説明内容を追加することが望ましい。その場合、市販商品の本来のロゴや登録商標と同様に目立つところにつけたり、又はその一部を隠したり、消したりしてはならない。
(3)製品が市場に流通した後、出所に対する消費者の誤解を引き起こさないために、生産者、販売者の情報を明確に示すものとし、隠したり、消したりしてはならない。