『民法典の貫徹実施に関する全国裁判所の会議紀要』(法【2021】94号)が2021年4月6日より施行
2021年1月1日『民法典』の施行に伴い、当初の『民法通則』、『契約法』関連の司法解釈は廃止になったが、新しい司法解釈はまだ公布されていないので、実務上の問題を解決するために統一的な規則を制定することが急務である。これに鑑み、最高人民法院は2021年4月6日に『民法典の貫徹実施に関する全国裁判所の会議紀要』(法【2021】94号)(以下『紀要』という)を公布した。商事法律に係るポイントは以下の通りである。
一、訴訟時効について
『〈中華人民共和国民法通則〉若干問題の貫徹執行に関する意見(試行)』(廃止済み)第175条の規定によると、一般的な訴訟時効は中止、中断、延長の関連規定の適用を受けることができる。「20年」の訴訟時効は延長の関連規定の適用を受けることができが、中止、中断の関連規定の適用は受けることができない。『紀要』の規定によると、一般的な訴訟時効は延長の関連規定の適用を受けることができない。
二、契約の成立について
『紀要』では、「裁判所は契約自由を尊重し、取引を奨励・促進するという方針で法に従い処理する」ことを明確にした。『民法典』及びその司法解釈、『紀要』では、商事分野において取引を奨励・促進するという自由裁量権の傾向も示した。
三、代位権行使の範囲について
『契約法』第73条の規定により、代位権行使の範囲は期限が近づく債権のみに限る。『民法典』第535条では当該規定を変更した。『紀要』では、『契約法解釈一』第13条における「金銭の給付を内容とし、期限が近づく債権」という規定を削除した。つまり、債権者が代位権を行使する範囲は、期限に満たない債権にまで拡大しただけでなく、金銭の給付を性質とする債務に限定していない。
四、明らかに不合理な低価格、損害賠償、違約金などについて
明らかに不合理な低価格、損害賠償、違約金などの関連規定について、『紀要』と『契約法解釈二』は基本的に一致する。例えば、譲渡価格が取引時に取引地の指導価格又は市場取引価格の70%に達していない場合は、明らかに不合理な低価格と見なすことができる。譲渡価格が当地の指導価格又は市場取引価格の30%を上回る場合は、明らかに不合理な低価格と見なすことができる。当事者間で約定された違約金が損失額の30%を上回る場合は、「損失額を明らかに上回る」と認定することができる。