『輸出管制法』が2020年12月1日より施行
国家安全及び利益のために、多くの国は輸出入の関連規定を制定した。中国は1994年に『対外貿易法』を公布し、貨物、技術輸出入に対して原則的な規定を行った。1997年より、中国は相次いで軍事品の輸出、デュアルユース品目・技術、技術輸出入などを規制するための部門規則を公布した。輸出入方式の多様化、投資、再輸出、国内販売から輸出への転換など、輸出対象の複雑化(貨物・技術の範囲を超えた)につれて、現行の輸出規定は実際のニーズを満たすことができない。2020年10月17日、第13回全国人民代表大会常務委員会の第22次会議において『中華人民共和国輸出管制法』(以下『輸出管制法』という)は可決されており、2020年12月1日より施行される。
『輸出管制法』は中国の現行の輸出規制規則が調整された。
1、輸出規制の対象
貨物・技術のほかに、サービスも規制の対象となる。
但し、企業は慌てる必要はない。輸出規制の対象とされた貨物、技術、サービスは、デュアルユース品目、軍事品、核、他の国家安全と利益の保護、拡散防止等の国際的な義務の履行に関連するものでなければならないという前提を満たす必要がある。従って、大部分の民用貨物、技術、サービスなどの品目は輸出規制の対象とされない。
2、規制方法のリスト化
輸出規制の対象とされる品目に対して、国家輸出規制管理部門は輸出規制リストを制定する。国家安全と利益の保護、拡散防止等の国際的な義務の履行の必要に応じて、国家輸出規制管理部門は臨時的な規制リストを制定することができる。臨時的な規制リストの実施期間は2年とし、評価を受けた上で、評価結果に基づいて臨時的な規制の取消、延長、又は臨時的な規制品目を輸出規制リストに追加することを決定する。
3、エンドユーザー及び最終用途のリスク管理の新規規定
『輸出管制法』第15条から第18条では、エンドユーザー及び最終用途に対して規定を定めた。
第15条の規定によると、輸出事業者はエンドユーザー又はエンドユーザーの所在国・地区の政府機関から発行された規制品目のエンドユーザー及び最終用途に係る証明文書を提出しなければならない。
第16条の規定によると、エンドユーザーは無断で規制品目の最終用途を変更したり、いかなる第三者に対し規制品目を譲渡したりしてはならない。規制品目の最終用途を変更する場合は、輸出事業者、輸入者は報告義務を負う。
第17条の規定によると、国家輸出規制管理部門はエンドユーザー及び最終用途に対して評価・調査を行う権利がある。但し、輸入事業者及びエンドユーザーの現場にて立入検査を行えるか否かを明確にしていないので、実務において当該権利に対する意見は一致しない。国家輸出規制管理部門が当該権利を有する場合は、公権力の域外行使に係る。
第18条の規定によると、国家輸出規制管理部門は「エンドユーザー·最終用途の管理要求への違反」、「国家安全と利益に対する脅威の可能性」または「規制品目のテロリズム目的への利用」の状況に該当する輸入業者とエンドユーザーを規制名簿に追加し、かつ、関連規制品目の取引禁止·制限、関連規制品目の輸出中止命令などの必要な措置を講じることができる。
輸出業務に係る企業は輸出品目が規制対象に属するか否かを確認しておくとともに、リスクを低減するために、特定の化学品、金属等輸出規制対象とされた品目について、輸出関連契約においてエンドユーザー及び最終用途に対する輸出規制の制限・要求を追加するべきである。