『外商投資企業苦情処理業務弁法』が2020年10月1日より施行

『外商投資法』第26条では、「中国は外商投資企業の苦情申立体制を構築する。」ことを定めた。『外商投資法実施条例』第29条では、「国務院商務主管部門、県レベル以上の地方人民政府が指定する部門もしくは機構は、苦情処理業務の規則及び苦情申立の方法を改善し、苦情処理の時限を明確にしなければならない。」ことを定めた。

最近、商務部は『外商投資企業苦情処理業務弁法』(以下、『弁法』という)を公布した。『弁法』のポイントは以下の通りである。

1、苦情申立の対象となる事項範囲の拡大

『外商投資法』及び『外商投資法実施条例』では主に、外商投資企業・外国投資者の合法的な権益を侵害する行政機関の行政行為を苦情申立の対象とした。『弁法』では、投資環境不備の通報、政策措置整備の提案を新規追加した。

2、苦情処理業務メカニズムの完備

『弁法』では、国は外商投資企業苦情処理業務の「部際連席会議制度」(注:国務院の複数の部門の職責に係る事項を処理するために、各部門が協力して共同で任務を遂行するメカニズムである。)を確立し、全国外資苦情申立センターを設立する。県レベル以上の地方人民政府が指定する関係部門又は機関は本地区の苦情処理業務を行う。

3、苦情処理業務規則の明確化

『弁法』では、苦情の申立、受理、処理方式、処理期限、処理結果の異議申立などに係る規則を定めた。例えば、第10条では、「苦情を申し立てる場合は、書面による書類を提出し、かつ現場手渡し、書状、ファックス、電子メール、オンライン申請などにより提出することができる」と苦情申立の方式を定めた。第15条では、「全ての苦情書類を受け取った後7営業日以内に受理要否の決定を下す。」ことを定めた。第19条では、「通常、苦情処理業務機関は受理日から60営業日以内に解決する。状況が複雑な場合は、適切に延長することができる。」ことを定めた。

4、権益保護の強化

(1)『弁法』第8条では、「苦情を申し立てる場合は、行政復議及び訴訟の提起に影響を与えない。」ことを定めた。従って、苦情申立人は同時に進めることを考慮できる。

(2)『弁法』第29条では、「苦情処理業務機関及びその職員は、苦情申立人の商業秘密、ビジネス情報、プライバシーを保護する。」ことを定めた。