最高人民法院『全国法院民商事審判工作会議紀要』が2019年11月8日に公布された

最高人民法院は2019年11月8日に『全国法院民商事審判工作会議紀要』(法〔2019〕254号、以下『会議紀要』という)を公布した。『会議紀要』の内容は、会社、契約、担当、破産などに係る9種の紛争案件の重点に対する認定規則、民法総則の適用及び他の法律規定との関係、訴外者救済、民事?刑事交差案件の取扱いなどの難点に及ぶ。

以下は主に『会議紀要』における契約紛争案件関連問題の判断規則について説明する。

1、法律、行政法規の強行規定に違反することを理由に契約無効と認定する場合の基準の明確化

『契約法司法解釈(二)』では、効力的強行規定に違反する場合、契約を無効と認定できることを定めた。『当面の形勢下での民商事契約紛争案件の審理の若干問題に関する最高人民法院の指導意見』には、「管理的強行規定に違反する場合は、裁判所は具体的な状況に基づき、関連契約を無効又は有効と認定することができる。」と指摘した。但し、実務において、裁判所によって、「効力的強行規定」と「管理的強行規定」の判断基準は一致しない。

そのために、『会議紀要』では、「効力的強行規定」違反に該当する5つの状況を明確にした。(1)公序良俗に違反する場合。(2)売買を禁止される取引対象の売買を行う場合。(3)フランチャイズ規定に違反する場合。(4)取引方式が著しく法律に違反する場合。(5)取引場所が違法である場合。又、『会議紀要』では、経営範囲、取引日付、取引数量などの行政管理の性質を有する強行規定は「管理的強行規定」に該当することを明確にした(注:これまでの実務において、効力的強行規定と認定されたことが多い)。

『会議紀要』によると、通常、規則に違反した場合は、契約の効力に影響を与えない。但し、関連規則の内容が金融安全、市場秩序、国のマクロ政策等の公序良俗に係る場合は、契約を無効と認定すべきである。

2、押印行為の法律効力

複数の公印があり、又は公印を偽造して押印する行為について、『会議紀要』では、裁判所は締結者が押印時に代表権又は代理権を有するか否かを主に審査し、代表又は代理の関連規則に従い契約の効力を判断することを定めた。

3、違約金が高すぎるか否かの判断基準及び立証責任

『会議紀要』では、違約金が高すぎるか否かは、通常、『契約法』第113条でいう損失をベースにして判断する。当該損失には、契約履行により獲得できる利益が含まれる。民間金銭貸借契約以外の双務契約において、対価である代金又は報酬給付債務は民間金銭貸借契約における返済義務に該当せず、法律による保護を受ける民間金銭貸借の利率上限を基準として、違約金が高すぎるか否かを判断するべきではなく、契約の履行状況、当事者の過失の軽重、期待利益などの要素を総合的に考慮して判断すべきである。「違約金が高すぎる」ことを主張する違約者は、その主張について立証責任を負う。