『本市における多国籍企業地域本部の発展を促進することに関する上海市人民政府の若干意見』

    上海は2002年に、多国籍企業地域本部の設立を激励する旨の暫定規定を公布してから、数年おきに多国籍企業地域本部の管理政策を更新している。最近、外資誘致及び外資の有効活用を促進するために、上海市人民政府は『上海市が多国籍企業地域本部の発展を促進することに関する上海市人民政府の若干意見』(滬府規〔2019〕30号、以下『意見』という)を公布した。『意見』のポイントは下記の通りである。

    1、認定条件の緩和

    (1)資産総額の認定基準が引き下げられた。具体的に言えば、多国籍企業地域本部親会社の資産総額は2億米ドルを下回らず、多国籍企業本部型機構親会社の資産総額が1億米ドルは下回らない。

    (2)多国籍企業地域本部親会社の払込済み登録資本、地域本部が授権管理する組織の数、多国籍企業本部型機構親会社が中国で投資設立する企業の数に係る制限は取り消された。

    (3)多国籍企業地域本部及び本部型機構が外商独資企業でなければならないという制限は取り消された。

    (4)外国投資者が投資性会社を設立する際の条件が緩和された。具体的に言えば、投資性会社の設立を申請する1年前に外国投資者の資産総額は2億米ドルを下回らない。又、中国国内における払込済み登録資本又は投資企業の数に係る要求は取り消された。

    2、資金運用の自由性/利便性の向上

    (1)多国籍企業地域本部はが多国籍企業の越境資金集中運営管理業務モデルにおいて、子会社の国内外資金に対して集中的な運営管理を行い、グループビジネスモデルにより資金の集中、調達、決済、ヘッジング、投資、融資などの業務を行うことはが許可された。

    (2)多国籍企業は子会社の外債及び/又は海外向け貸出金に対して集中的な管理を行う一方、商慣習を遵守して自ら借用、外債の返済又は海外向け貸付業務を行う。子会社は通貨の種類、債権者(又は債務者)によって外債(又は海外向け貸付金)登記をそれぞれ行う必要がなくなる。

    (3)多国籍企業地域本部、本部型機構が国内外子会社の経常項目における売掛金、買掛金に対して集中的な計算を行い、ネッティング業務を展開することが許可された。

    (4)越境資金プーリング業務の提携銀行、国内資金メイン口座の数に係る制限は取り消された。

    又、『意見』では、多国籍企業地域本部の海外貨物所有権の売買による輸出業務、融資、投資、貿易、物中、研究開発の利便化のために政策方針が示されている。