『<中華人民共和国企業破産法>適用の若干問題に関する最高人民法院の規定(三)』は2019年3月28日より施行
司法実務において、人民法院は企業破産案件を審理するにあたり、債権者の権利行使などにおける法律の適用については、意見のバラつきがある。2019年2月25日、最高人民法院審判委員会第1762回会議では、『<中華人民共和国企業破産法>適用の若干問題に関する最高人民法院の規定(三)』(以下「『破産規定(三)』」という)は可決され、2019年3月28日より施行されている。『破産規定(三)』のポイントは以下の通りである。
1、経営の継続を目的とする金銭債権は一般債権に先立って優先弁済を受ける。
『破産規定(三)』の第2条によると、破産手続において、債務者の経営を継続させるための貸付金は一般債権に先立って優先弁済を受ける。但し、当該貸付金は事前に債権者会議で可決されたり、裁判所の認可を受ける必要があり、かつ当該債権は担保債権を優先しない。当該規定では、債権者から債務者(企業)への貸付金の弁済順序、予想されるリスクを明確にした。
2、保証債務を早期弁済の対象となる債務に含めた。
『破産規定(三)』の第4条では、債権者と保証人の権利を保護する規則を明確にした。つまり、保証人が破産手続に入った場合、債権者は保証債権を申告することができる。主債権の期限が到来していない場合、保証人の破産申請が受理されるときに、保証債権は早期弁済を受ける。この場合に、普通保証の保証人は先履行の抗弁権を行使できず、破産手続における当該保証債権の配当額は供託され、保証人の責任が明確になった後に配当される。
3、個別の債権者は債務者の関連資料を検索・閲覧する権利がある。
『破産規定(三)』の第10条では、個別の債権者は債務者の財産状況報告書、債権者会議の決議、債権者委員会の決議、管財人の監督報告書など、債務者の財務・経営情報に係る破産手続に必要な資料を検索・閲覧することができる。関連情報や資料が営業秘密に係る場合、債権者は法に従い秘密保持義務を負い、又は機密保持協議書を締結する。国家秘密に係る場合、関連法律に従い取り扱う。
4、債権者会議の非現場表決及び留意点
債権者、特に個人債権者(例えば、「丁丁」シェアー自転車の破産による影響は数千万人の消費者に及ぶ)が適時かつ低コストで表決できるように、債権者会議の表決方式には、「非現場の表決」が新規追加された。『破産規定(三)』の第11条によると、非現場の表決方式には、通信、インターネット投票などが含まれている。但し、注意すべきことは、非現場の表決を行った後、管理人は債権者会議後3日以内に表決結果を表決関与者である債権者に告知するべきである。この場合に、債権者が債権者会議の決議取消を申請する場合、取消権の行使期間は債権者の通知受領日から起算する。