図形の著作権登録

    通常、企業は業界や製品などに関わる図形を設計し、広告宣伝、販売促進に用いる。その場合、他社の模倣を防止するために、往々に商標登録を出願することにより法的保護を受ける。実は、『著作権法』の規定に合致する図形について、著作権登録を先行して行うか、又は商標登録出願とともに著作権登録を行うことは、図形への保護を強化できる。

    その理由は、著作権登録は、商標登録出願の際に生じる下記のような「短所」を回避又は低減させることができるからである。

    第一に、商標登録出願は時間がかかり、権利保護を受けるまでに「空白期間」が存在する。著作権登録は便利で、時間もあまりかからない(通常は1ヶ月がかかり、至急処理を申請した場合に期間短縮が可能。又、実体審査もない。)ので、商標登録出願のデメリットを補うことができる。

    第二に、全45種類において商標登録を行った場合を除き、通常、商標登録が行われていない種類において他人が同様又は類似の図形商標を登録出願することは阻止できない。一方、著作権者が図形について著作権登録を行った場合、商標登録が行われていない種類において他人が同一の図形の商標登録を出願すれば、著作権者は『商標法』第31条の「商標登録出願は他人の先行権利を侵害してはならない……」(注:『商標審査審理基準』では、先行権利には著作権が含まれることを明記している。)に従い、商標登録出願の取消を請求することができる。

    第三に、『商標法』の規定によると、登録商標が過去3年間指定区分の範囲で使用されなかった場合、不使用取消審判の対象となる。従って、登録商標が長期的に使用されていない場合は、他人が取消を請求し、更に一定期間後、商標登録を出願する可能性がある。著作権の場合、未使用により権利がなくなってしまうことはない。又、仮に個別の区分での登録商標が三年不使用により取り消されたとしても、他人が同じ商標の登録出願を行うときに、著作権者は依然として著作権に係る先行権利を正当な理由として、他人の商標登録の取消を請求することができる。

    上記の纏めとして、図形に対して知的財産として法的保護を求める場合は、著作権登録は一つの良策と考えられる。

    但し、全ての図形が『著作権法』による保護を受けられるわけではない。『著作権法実施条例』の規定によると、「図形」に関連する著作物には「美術著作物」、「図形著作物」が含まれている。「美術著作物」とは、絵画、書道、彫塑などの線、色彩又はその他の方法で構成される審美的意義を有する平面的又は立体的な造形芸術著作物を指す。「図形著作物」とは、施工又は生産のために作成された工事設計図、製品設計図、及び地理的現象を表し、又は事物の原理若しくは構造を説明した地図又は見取図などの著作物を指す。本件に係る図形は明らかに「美術著作物」に該当する。著作権の保護対象は「独創性」を備えなければならない。つまり、設計された図形の線、色彩、レイアウトなどは一定の創造性を体現する必要がある。さもなければ、実体審査を受ける必要がないため、登録を受けることに問題がないが、個別案件において図面の著作権を否定される可能性がある。特に他人が商標登録を出願せずに、直接模倣した場合、著作権者は著作権侵害を主張しても明らかに認められない。

    勿論、いかなる権利に対する法的保護は限界があり、著作権も例外ではない。著作権の保護は商標権の保護と比べ、幅広いように見えるが、実体審査を受ける必要がないため、他人が故意に手を加え、少しでも「オリジナル加工」をすれば、著作権登録を行うことができるようになるので、ある程度、著作権登録により商標登録の「デメリット」を補うという策略を破ることができる。