ビジネス活動における贈答品の取扱い
商慣習やビジネスマナーに従い、取引先との関係を良好に維持するために、企業間で挨拶を交わしたり、やり取りを行ったりすることが多い。特に年末年始が近づくにつれて、各種の忘年会、返礼の宴などが相次いで行われる。通常、主催者は贈答品を準備し、来賓に贈り、場合によっては福引抽選により興を添えることもある。では、従業員が会社を代表してビジネス活動に参加し、贈答品を受け取った場合、それらの贈答品は誰の所有に帰すべきなのか?
礼儀上の贈答は伝統的な慣習であり、参加者が自ら贈答品を受け取ることは不適切ではないという意見もあれば、主催者は会社に贈答品を与えるので、従業員が会社を代表してビジネス活動に参加し、贈答品を受け取った場合、贈答品は会社の所有に帰すべきだという意見もある。いずれも道理に合っているようである。又、実務において、会社によって贈答品の処理に関する規定と執行も千差万別である。
では、ビジネス倫理及びコンプライアンスから見て、企業はどのように取り扱うべきであるか?
原則としては、一般的なビジネス慣習を超える「贈答品」は当然従業員ではなく、会社の所有に帰すべきで、又会社はこのような贈答品を受け取った後、事実通りに記帳する。さもなければ、商業賄賂と認定されるリスクがある。改正後の『不正競争防止法』によると、双方が事実通りに記帳した状況下で、取引相手方は商業賄賂の主体に該当しないが、事業者は「財物又はその他の手段により……取引相手方の従業員に賄賂を行う場合」、商業賄賂になる。従って、会社は従業員が高価値の贈答品を受け取ることを放任すれば、大きなリスクになるに違いない。
一般的なビジネス慣習とは一体何なのかについて、法律では明確にされていない。実務において、司法機関は社交礼儀としての贈答に係る「相場」及び個別的な状況に応じて判断する。例えば、(2016)浙02民終2013号判決書において、寧波裁判所は、「私的な場ではなく、公的な場で仕入先から結婚のお祝い金を受け取った。800元-1000元は寧波の結婚のお祝い金額の相場に合致し、民間礼儀上の贈答品を受け取る行為に該当する。」と指摘した。但し、類似的案件について、一部の裁判所は双方間に親族?友人関係の有無、又は依頼の有無などによって、結婚のお祝い金の受取を贈答ではなく、商業賄賂という不正行為と認定された。つまり、裁判所によって判断結果に不確実性が存在する。従って、従業員個人が受け取る贈答品の価値基準について、多くの企業は依然として『対外公務活動における贈答品の贈与?収受に関する国務院の規定』を参照し、200元を上限と設定している。
上記の纏めとして、コンプライアンス管理の必要に応じて、企業は内部規則制度において贈答品取扱ルールを制定する必要がある一方、企業の状況に基づき、ルールの厳しさを決めることができる。例えば、「従業員は贈答品を受け取った場合、一律に会社に引き渡さなければならない。」、又は「〇〇元以下の贈答品は従業員が自ら受け取ることができる。元を超え、相手に返還に適しない贈答品は、手続に従い会社に引き渡す。」など。
最後に、注意すべきことは、明確なルールがある状況下で、企業はルール通りにしっかり執行し、かつ関連証拠を保留する必要がある。そうすると、従業員の収賄により企業の名誉が悪影響を受けるリスクを低減できるし、又企業が商業賄賂に対する管理を重視することは、『不正競争防止法』第7条第3項における「従業員の贈賄行為は使用者と無関係である」ことを証明するための証拠の一つとなる。