上海第一中級裁判所が2018年7月17日に初めての競業制限紛争案件審判白書を公布した
2018年7月5日、上海市第一中級人民法院は初めての『競業制限紛争案件審判白書』(以下『白書』という)を公布した。『白書』では、5件の典型案例を挙げて、5つの面で競業制限案件の判断基準を明確にしているから、企業の実務処理に導きを与えると思われる。
1.競業制限義務を負う者は、元の勤務先と同類の製品を生産?経営し、同類の業務に従事し、競合関係にある他社に就職し、又は自ら開業して同類の製品を生産?経営し、同類の業務に従事する場合、競業制限義務に違反する。仮に元の勤務先の取引先数の減少を引き起こしたり、元の勤務先を激しい競争にさらしたりするなど、元の勤務先に実質的な影響を及ぼさなくとも、依然として法により違約責任を負う。
2.使用者と労働者の約定による競業制限範囲が、使用者の工商登記における経営範囲を超えている場合は、必ずしも約定無効とは限らない。使用者が経営範囲を超えて実際に関連業務に従事している場合も、当該業務に係る競業制限について労働者と約定を行うことができ、約定も合法で有効となる。使用者は実際に関連業務に従事している場合には、立証責任を負う。
3.当事者が労働契約又は秘密保持協議書において競業制限及び経済補償を約定した場合、労働契約解除又は終了後に、使用者の事由により3か月間に経済補償が支払われておらず、労働者が競業制限約定の解除を請求する場合、人民法院はそれを認める。労働者が法により双方の競業制限協議書を解除した後も、約定通りに違約金を主張する権利は喪失しない。
4.労働者の競業制限義務は使用者の違約行為により当然に免れるわけではない。先履行の抗弁権であっても、同時履行の抗弁権であっても、労働者の不作為給付義務を免除する事由にならない。仮に法定又は約定に基づいた解除条件を満たしたとしても、労働者が解約の意思表示をせず、かつ相手方がそれを知っている場合に、競業制限協議書は依然として双方当事者に拘束力を有する。
5.外国人が中国に就労している場合、最低賃金、勤務時間、休息?休暇、労働安全衛生などは中国の関連規定を適用する。当事者がその他の労働に係る権利の行使及び義務の履行は、当事者間の書面による労働契約、個別協議書などに基づき確定する。強行規定に違反しなければ、合法で有効となる。