従業員がネットに会社や上司の「悪口」を書き込んだ場合、会社はいかに対応すべきか?
劉さんは人事考課結果が悪く、年末ボーナスを支給されなかったため、ウィーチャットの会社グループチャット内で、会社の福利厚生制度が悪いなどと不平不満を漏らし、同僚にストライキするよう煽動した。会社は、劉さんが悪事を唆したことを理由に、一方的に労働契約を解除した。しかし結局、会社は労働仲裁に敗訴した。
インターネットの普及につれて、従業員はウィーチャット、ミニブログ、BBSなどのアプリで意見を述べたり、感想を投稿したりすることが多い。しかし、それらの投稿内容には、客観的な事実もあれば、捏造したもの、さらに煽動するような言葉もある。会社はいかにしてネット上の「悪口」に対応すればいいのだろうか?
全体からみて、会社は従業員の職務等級、「悪口」の真偽、「悪口」による結果の重大さによって、適切な措置を講じるよう勧める。
まず、特殊な地位を有する従業員は、『会社法』における特別な規定により規制する。『会社法』第147条には、「董事、監事、高級管理職は、法律、行政法規及び会社定款を遵守し、会社に対して忠実義務及び勤勉義務を負う」と規定している。上記の「忠実義務」には「董事、監事、高級管理職が事実に符合しない不適切な言論を発してはならない」状況が含まれるか否かは明確にしていないが、同法第148条第1項第8号の「会社に対する忠実義務に違反するその他の行為」という包括的条項と組み合わせてみれば、通常、董事/監事/高級管理職による不適切な言論を規制することはあるべき姿だと解される。但し、念のためにも、会社の規則制度において、董事/監事/高級管理職の忠実義務には、事実に符合しない不適切な言論を発してはならないことが含まれるということを明確にしておいたほうが良いと思われる。
次に、内容から見れば、「悪口」に虚偽の事実が含まれている場合には、『権利侵害責任法』に基づき係る従業員の法的責任を追及することができる。又、仮に「悪口」の内容が真実であっても、会社の営業秘密に係る場合は、守秘義務違反を理由に、係る従業員に対して懲戒処分を行い、かつ/又は『不正競争防止法』又は『刑法』に基づいて相応の法的責任を追及することができる。
最後に、「悪口」による結果の重大さから見て、従業員がデマを飛ばし(例えば、危険状況や疫病発生状況や警察への通報等の嘘をつくことやその他の方法で公共の秩序を故意に乱す)、又は公然と他人を侮辱し、又は事実を捏造して他人を誹謗したものの、犯罪にならない場合は、『治安管理処罰法』等の規定に従い、拘留、過料などの行政処分を受けさせることが可能である。従業員が虚偽の事実を捏造、散布し、会社の信用や名誉を毀損した場合、『刑法』における信用?名誉毀損罪が成立する可能性がある。このような場合は、会社は、具体的な「悪口」の内容に応じて、公安機関に通報することが考えられる。