『民商事事件の審理期限延長と開廷延期の問題の厳格な規範化に関する最高人民法院の規定』が2018年4月2
『民事訴訟法』では審理期限、開廷延期などについて明文化しているにもかかわらず、司法実務において、審理期限の延長、開廷延期などは多発している。そのような傾向を抑制するために、最高人民法院は2018年4月23日に『民商事事件の審理期限延長と開廷延期の問題の厳格な規範化に関する最高人民法院の規定』(以下「法釈〔2018〕9号」という)を公布した。そのキーポイントは以下の通りである。
1、審理期限の延長申請に対して審査期限を定める
『民事訴訟法』では、「特殊な状況により審理期限を延ばす必要がある場合、本法院の院長に申請を提出し、審理期限の延長を再び申請する際に、上級の法院に申請を提出しなければならない」ことをを定めている。法釈〔2018〕9号では、「本法院の院長に申請を提出する期限は、審理期限が満了する15日前までとし、又院長が審理期限満了前の5日以内に決定しなければならない。審理期限の延長を再び申請する場合、上級の裁判所の審査期限は前記と同様。」と定めている。法釈〔2018〕9号の規定は、審理期限の延長申請に対する審査手続きの不適切な利用により審理期限を延長する抜け穴をふさぐと見込まれる。
2、開廷の間隔を設ける
法釈〔2018〕9号では、「再び開廷が必要となる事件の開廷間隔は1か月を超えてはならない。但し、不可抗力又は当事者の同意を得た場合は除外する」と定めている。
3、開廷延期に対する審査制度を設ける
『民事訴訟法』及び関連法令では、開廷延期について審査制度を定めていない。この場合に、基本的に独任の裁判官又は合議庭が自主的に開廷日を決定する。法釈〔2018〕9号では、「開廷延期が必要となった場合、本法院の院長に申請を提出しその審査承認を取得しなければならない」ことを明確にしており、延期開廷に対する自主的な決定権を制限している。
法釈〔2018〕9号は、審理期限と開廷延期の不正利用により通常の審判の妨害行為の制限や民事訴訟期間を合理的に短縮することに役立つ見込みである。