『不動産登記資料照会暫定弁法』が2018年3月2日より施行
不動産登記資料の照会は、従来当事者が手を焼くことが多い。『不動産登記暫定条例』、『不動産登記暫定条例実施細則』では、利害関係人も不動産登記資料の照会を申請することができると規定しているものの、誰が利害関係人であるかについて明確に規定しておらず、また、照会の範囲についても統一的かつ明確な規定を定めていない。最近、国土資源部は『不動産登記資料照会暫定弁法』(以下『暫定弁法』という)を公布し、上述の問題を含む不動産登記資料の照会に関する諸規定を細分化している。
以下では、『暫定弁法』における主な規定を簡単に説明する。
1、利害関係人の範囲及び証明書類
『暫定弁法』の規定によると、(1)不動産の売買、交換、贈与、賃貸、抵当により利害関係を構成する場合、(2)不動産に起因して民事紛争が発生しかつ訴訟を提起し又は仲裁を講じたことにより利害関係を構成する場合、(3)法律法令が定めるその他の場合、利害関係人は照会を申請することができる。利害関係の証明書類について、(1)の場合には、かかる契約の提出が必要で、(2)の場合には、訴訟事件受理通知書又は仲裁受理通知書の提出が必要とされている。
また、『暫定弁法』では、「不動産の売買、賃貸、抵当を行う意向があり、又は不動産について訴訟の提起又は仲裁の申立等を行おうとした」際に、前述の証明資料を準備できない場合、本人証明書類をもって、照会を申請することができる(但し、照会可能な範囲は異なる。後述する。)
2、照会の範囲について
『暫定弁法』は、異なる照会主体について異なる照会権限を設定している。
(1)権利者の照会権限は一番大きい。権利者は、不動産登記簿等の不動産登記結果、不動産登記原始資料を照会することができる。また、一般的には、不動産権利者は、下記の何れかの情報での検索を申請してかかる不動産登記資料を照会することができる。①権利者の氏名又は名称、身分証明書番号又は統一社会信用コード等特定の主体者情報。②不動産の具体的なロケーション情報。③不動産権利証書番号。④家屋番号。
(2)前述の1の(1)、(2)における利害関係人は、不動産登記結果の照会を申請することができる。
(3)「不動産の売買、賃貸、抵当を行う意向があり、又は不動産について訴訟の提起又は仲裁の申立等を行おうとした」利害関係人が申請できる項目は、①不動産の属性に関する情報、②不動産は共有名義となっているか、③不動産について抵当権登記、予告登記又は異議登記を行ったか否か、④不動産について差押登記を行い、又はその他の処分制限を受けたか否か、を含む。上記の利害関係人が弁護士に委託して申請を行う場合、更に以下の項目を照会することができる。①照会対象となる不動産権利主体の名称が登記簿の記載と一致するか否か。②不動産の共有形態、③差押登記又は処分制限を行った機関の名称。