立法動向:工商総局『企業名称使用禁止/制限規則』及び『企業名称同一/近似の比較対照規則』が2017年

    企業の数が激増するにつれて、高級ブランドの知名度にただ乗りするなど不正競争行為が多発していることに鑑み、国家工商総局は『企業名称使用禁止/制限規則』、『企業名称同一/近似の比較対照規則』の配布に関する通知(工商企注字〔2017〕133号)(以下 『133号文書』)を公布した。元『企業名称登記管理規定』(2012年改正)及び『企業名称登記管理実施弁法』(2004年公布)(以下『元規定』と総称する)と照らし合わせたところ、『133号文書』の目玉は以下の通りである。

    1、禁止規則

    (1)    同名の禁止

    『133号文書』では、企業名称が同一の企業登記機関に登記登録され、許可された同業界の企業名称と同一してはならないことを要求し、又、『元規定』における投資関係の除外条項を削除した。

    『133号文書』では、登記が取り消された又は営業許可証が取り下げられた企業の名称を使用することに対して、「抹消登記手続が済んだ」という条件を設定した。『元規定』では3年間という条件であった。

    当該二つの改正は、同一の企業登記システムにおいて新規追加された企業名称の唯一性を根本から確保する見込みである。

    (2)外国語の使用禁止

    『133号文書』では、「企業名称において外国語を使用してはならない」という規定を新規追加した。

    2、  制限規則

    (1)   企業名称の近似は「投資関係を形成した企業」のみに限る。

    『元規定』では、同一の企業登記機関にて登記登録され、許可された同業界企業の近似名称に対してケースバイケースで判断するという審査許可原則を採用した。『133号文書』では、「投資関係を形成した企業」という統一で客観的な基準に改正した。

    (2)「その他の企業名称の一部を使用する」について

    『元規定』によると、企業の分支機構でなければ、所属企業の名称の一部を使用してはならない。『133号文書』によると、企業名称においては、その他の企業名称の一部を利用することができる。投資関係を形成したり、当該企業から権限を授けたりする必要があり、かつ当該企業の略称又は特定の名称を使用する場合は除外する。又、企業名称権の利用拡大を制限するために、『133号文書』では、当該企業の略称又は特定の名称にはその他の意味が含まれ、又は対象となる企業が特定しない場合は、権限を授ける必要はないと規定された。

    (3)   使用許諾がなければ著名商標を商号として使用してはならない。

    『133号文書』では、企業は、工商総局から著名商標として保護される規範化漢字を、同業界企業の商号として使用してはならない。但し、当該著名商標の所有者から使用許諾を得た場合は除外すると規定された。

    3、 照合規則

    『133号文書』では、名称照合システムにより同一又は近似の企業名称を判断する規則を明確し、かつ例を挙げて説明した。例えば、同一の企業登記機関にて登記登録され、許可された企業名称の行政区画、商号、業界及び組織形態の順列は異なるが、文字が同じである(北京紅光酒業発展有限公司と紅光(北京)酒業発展有限公司)。当該規定のメリットは、企業は事前に例で示された方法で、その申請予定企業名称を変更されるリスクの有無を判断できるようになる。