立法動向:『専利優先審査管理弁法』が2017年8月1日より施行
2017年6月28日、国家知的財産権局は『専利優先審査管理弁法』((2017)第76号令、以下『新弁法』という)を公布し、2017年8月1日より施行することになっている(注:専利=発明特許+実用新案+意匠)。2012年8月1日より施行されている『発明特許出願優先審査管理弁法』(以下『旧弁法』という)と比べ、『新弁法』は、主に優先審査の適用対象、条件及び手続などについて改善しており、その目玉は以下の通りである。
1.優先審査の適用対象を拡大した。『旧弁法』では、優先審査の適用対象は発明特許に限られたが、『新弁法』では優先審査の適用対象は、実用新型及び意匠まで拡大された。中国では実用新型が最も多い状況下で、上述の新規定は、専利出願に時間がかかるという現実問題の解決に役立つと見込まれる。
又、専利無効審判が往々に専利権侵害事件に係わるため、専利無効審判事件を優先的に審査することは、専利権侵害紛争が時間がかかるという問題をも有効に解決できるようになる。
2.優先審査の適用条件を追加した。『旧弁法』における優先審査を適用する状況以外に、『新弁法』では3つの状況を追加した。
①各省レベル並びに区を設けた市レベルの人民政府が重点的に奨励?扶助する産業の場合。
②インターネット、ビッグデータ、クラウドコンピューティングなどの領域に係り、かつ技術又は製品の更新が早い専利出願又は専利出願再審事件の場合。
③専利権侵害紛争及び国家利益又は公共利益侵害に係る無効審判事件の場合。
3.優先審査の手続を簡潔化した。『新弁法』によると、専利出願について優先審査を申立する場合は、出願者は、省レベルの知的財産権局が審査の上、意見を記入して公印を押した優先審査請求書、要求を満たした検索報告書及び関連の証明書類を提出しなければならない。専利出願再審査、無効審判事件の場合は、当事者は、省レベルの知的財産権局が審査の上、意見を記入して公印を押した優先審査請求書及び関連の証明書類を提出しなければならない。実質的審査又は初歩的審査手続において優先審査が行われた専利出願再審査事件の場合は、地方知的財産権局の審査意見を提出する必要がない。
最後に、注意すべきことは、『新弁法』では、専利の種類及び手続の特徴に応じて、それぞれ返答期限及び終結期限を設定した。具体的には、優先審査請求が認められた日から、発明特許出願案件の場合は1年以内に終結し、特許出願再審査事件の場合は7ヶ月以内に終結し、発明特許及び実用新型の無効審判事件の場合は5ヶ月以内に終結する。