大手通信企業間の特許権侵害紛争事件—-最高人民法院の再審案件
概要:
Z会社は、H会社の携帯電話製品二種が、Z会社が保有する某発明特許を侵害したとの理由で、陝西省の某中級裁判所に提訴した。一、二審判決とも、Y会社による本件特許権の侵害であるという判決が下った。
2014年、当所はY会社の依頼を受け、本件に関わる事実や問題点を繰り返し検討し、再審事由を確定したうえで、資料を準備し、再審請求を行った。その結果再審請求は順調に受理された。
本件特許が特許無効審判及び審決取消訴訟において無効とされたため、本件再審手続は再開され、さらに最高裁は本件を「提審」と裁定した。 *「提審」とは、一般的に審級引上げ審理を指す。ここでは、最高裁が自ら「問題あり」と考え、事件を引き戻し判断することを言う。
その後、いろいろな経緯を経て、Y会社とZ会社双方は最終的に合意に達し、その合意によりY会社は訴訟を取り下げ、本件訴訟はスムーズに終結となった。
キーポイント:
- 最高裁の特許権侵害案件における関心を正確に把握すること。これは、、最高裁がどのような案件に「興味を持ち」、どのような案件が再審される可能性が高いかということを反映する。
- 本件再審請求において、具体的に、①均等侵害の判断、②司法鑑定の関連問題の取扱ルール、③「一つの特許につき訴訟を提起するVS一つの製品につき訴訟を提起する」、という三つの切り口から、事実と法的根拠に基づいて論証することにより、再審申立書に説得力を持たせるようになった。