『本土と香港特別行政区における裁判所の民商事事件証拠取得相互依頼の手配について』が2017
中国本土と香港の間で経済貿易の提携が相次ぎ、両地とも係わっている案件が多い一方で、外国企業が本土企業との取引紛争の管轄について香港と約定することも少なくないため、本土と香港間における訴訟に関する規定は幅広く関心を集めている。かつて、民商事案件において、司法機関は地域を跨って証拠収集を行う際に法的根拠が不足していたため、香港に係わっている民商事案件を処理するときに障壁が多かった。そのため、本土と香港は『本土と香港特別行政区における裁判所の民商事事件証拠取得相互依頼の手配について』(以下『手配』という)を締結し、2017年3月1日より発効した。『手配』の主な内容は以下の通りである。
1、各自の連絡機関を通じて相手に証拠取得の依頼を行う。
本土の連絡機関は最高人民法院及び各地の高級人民法院であり、香港の連絡機関は香港特別行政区政府政務司司長弁公室の管轄下の行政署である。
2、取扱言語
各種委任書及び関連の資料は中国語/訳文にて提供されなければならない。
3、要請の範囲
(1)本土裁判所は香港裁判所に対し、①証人訊問、②文書取得、③財産の検査、撮影、保存、保管又は差し押さえ、④財産サンプルの取得又は鑑定、⑤身体検査を要請することができる。
(2)香港裁判所は本土裁判所に対し、①当事者の陳述及び証人の証言の取得、②書証、物証、視聴資料及び電子データの提供、③実地調査、鑑定を要望することができる。
注意すべきことは、本土裁判所と香港裁判所が互いに協力を求める範囲は一致しておらず、最も顕著な違いは、本土裁判所は香港裁判所に対し財産の保存、保管又は差し押さえを要望することができるということである。
4、証拠収集の方法
受託側は本轄区の法律規定に従い、証拠収集を手配する。依頼側は、特殊な方法をとり、又は受託側が証拠収集を実施する際に司法人員、関連当事者及びその代理人(法的代表者)に対し立ち会い及び証言収集、証拠収集の参与を求める場合、受託側は係る要望が本轄区の法律規定に違反しないと判断した場合、依頼者の要望に応じて行うことができる。
5、時限
受託側は依頼書の受取日から6ヶ月以内に依頼事項を完了するものとする。