『人民法院の財産保全事件の処理における若干問題に関する最高人民法院の規定』が2016年12月1日より施行
近年、裁判所は「老頼」(金銭的な余裕があるにもかかわらず悪意をもって債務を返済しない者を指す)の問題を解決するために、「老頼」情報公示制度、「高額消費制限命令」など多くの措置を講じている。最近、最高裁判所は『人民法院の財産保全事件の処理における若干問題に関する規定』(以下『規定』という)を公布し、財産保全事件の執行に関連する手続及び措置の強化について詳細な規定を加えている。その内、保全の時限及び被保全者の財産情報検索に係る規定は特に注意を払うべきである。
1、 保全の時限
『民事訴訟法』第101条では、「緊急事態」において、裁判所は48時間以内に裁定を下さなければならないと定められているだけで、『規定』では、「緊急事態」以外の状況の時限について明確に定められている:
(1) 非緊急事態及び保全の執行
第4条では、非緊急事態において、申請の受取後5日以内に裁定を下す。担保の提供が必要である場合は、担保が提供された後5日以内に裁定を下す。裁定により保全措置を講じる場合は、5日以内に執行すると定められている。
(2) 継続保全
第18条では、保全申請者が継続保全を申請する場合は、保全措置期限の到来前7日以内に申請を提出すると定められている。
(3) 保全財産の引渡
第21条では、差押が競合した場合、差押の対象となる財産の引渡は原則として1年とすると定められている。
(4) 保全の解除
第23条では、保全申請者が保全の解除を申請した後、人民法院は5日以内に裁定を下す。緊急事態において、48時間以内に裁定を下さなければならないと定められている。
第27条では、人民法院の裁定により訴外者の異議申立が成立後、保全申請者が法律で定められた期間内に執行異議の申立を行わない場合は、人民法院は提訴期限の到来日から7日以内に当該保全対象となる財産に対して保全を解除すると定められている。
(5) 関連当事者による異議申立
第25条では、保全裁定又は棄却裁定に不服である場合、裁定書の送達日から5日以内に当該裁定を下した人民法院に対し、再審査を申請することができる。人民法院は再審査申請を受け取った後10日以内に審査すると定められている。
(6) 訴外者による異議申立
第27条では、人民法院が係争対象物以外の財産について保全を行い、訴外者が異議を申し立てた場合、人民法院は法に従い裁定を下す。訴外者、保全申請者が当該裁定に不服である場合は、裁定の送達日から15日以内に人民法院に対し異議を申し立てることができると定められている。
2.、保全対象となる財産の具体的な情報を提供できない申請者に対し、新しい方法を与える
『規定』第11条では、保全申請者はインターネット執行検査?コントロールシステムを構築した執行裁判所に対し、書面で当該システムにより被保全者の財産の検索を申請することができると定められている。つまり、裁判所にはインターネット執行検査?コントロールシステムがある場合に、保全申請者は被保全者の情報を提供した後、当該システムにより執行対象となる全ての財産を検索することができる。