ゴルフ場が閉鎖を命じられた場合、会員はいかに権利を守るか?

    王さんは2011年に25万元の会費を支払って某ゴルフ場の終身会員となった。しかし、その5年後、当該ゴルフ場は土地の不法占拠により閉鎖を命じられた。王さんは当該ゴルフ場に対し会費返還、会費の引き上げ分相当額の補償金の支払を請求したが、最終的に裁判所はゴルフ場に対し一部の会費返還を命じただけである。
近年、国家発展・改革委員会などの部署が規定を公布し、ゴルフ場に対する分類整理などを開始したことに伴い、ゴルフ場が閉鎖を命じられたケースは多くあり、権利を守るために会員が権利侵害訴訟を提起するケースも珍しくない。利益を最大限に実現するためには、会員はいかにして権利を守るべきか?

    通常、会員は権利を守るために、契約に基づきゴルフ場経営者の違約責任を追及する。残念ながら、会員とゴルフ場の契約は基本的に普通約款条項に過ぎず、内容が簡易的で、約定されるゴルフ場の違約責任は非常に軽い又は不明確な事が多く、さらには約定されていない場合もある。大部分の案件においては本件のように、裁判所は一部の会費返還の請求のみを認めている。

    実際は、実務において、ゴルフ場閉鎖の具体的な事由に基づき、契約の約定と手元にある証拠を結びつけ、関連主張を行うことが理想的な方法である。具体的に言えば、現有の判決からみて、会員は状況に応じて、以下の措置を講じることができる。

    第一に、ゴルフ場経営業者は政府計画により閉鎖を命じられた場合、通常『契約法』第117条「不可抗力」の関連規定を理由に、違約責任又は損害賠償責任の負担を拒否する。実務において、この場合にゴルフ場経営業者は政府から会員向け賠償金/補償金などを含む補償を受け取ることができる。従って、会員はゴルフ場経営業者と政府の交渉期間内に適切な方法によりゴルフ場経営業者及び政府に合理的な要求(例えば、会費の返還及び適切な補償金の支払の請求や、他のゴルフ場への転籍コストをゴルフ場に負担させるなど)を行うよう勧める。

    第二に、ゴルフ場は土地の不法占拠、環境汚染などの問題により閉鎖を命じられた場合、「不可抗力」を理由に抗弁するとしても、閉鎖はゴルフ場経営者の違法行為によるものであるが、ゴルフ場は、自己負担で賠償金/補償金を支払うことは望まないため、会員は最終的に訴訟による解決を求める、つまり、法に従いゴルフ場の違約責任又は損害賠償責任を追及することの可能性が大きい。主張する金額を確定するにあたっては、以下の要素を考慮することができる:(1)メンバーシップの期限。終身会員の場合、裁判所は通常ゴルフ場に対し会費を全額返還し、又は一部を控除した後の金額を返還するよう命じる。(2016)津02民終1965号判決には、「会員が入会費を支払うことは天津XXゴルフ会の終身会員になる前提である。従って、ゴルフ場は会費を全額返還すべきである。」と指摘している。(2016)鲁民終744号判決には、「ゴルフ場工商登記に基づく経営年限が50年である。返還する際に、経過年数に応じた相当額を控除すべきである。」と判断している。(2)損失の証明。(2013)威商終字第16号判決には、「ゴルフ場は会費を返還するとともに、修繕休業期間内に会員がサービスを享受できず、別のゴルフ場の利用により発生する別途費用についても賠償を行うべきである。但し、会員の其の他の損失主張は証拠がないため、認められない。」と指摘している。従って、ゴルフ場が閉鎖を命じられ、紛争解決するまでに会員が別のゴルフ場を利用することにより発生した費用の差額について損害賠償を請求する場合は、認められる可能性が大きい。其の他の損失は個別的に判断する必要がある。(3)会員カード価値の引き上げ。不動産紛争案件と同じように、裁判所が時価の引き上げ分相当額の補償まで考慮して判決を下したケースは発見されていないが、時価が大幅に引き上げられたことを証明できる場合、裁判官の返還額に対する判断にある程度影響を及ぼしうる。