『最高人民法院、最高人民検察院による汚職贈収賄刑事案件の処理における法律適用の若干問題に関する解釈』は2016年4月18日から施行

    2015年11月1日から施行されている『刑法改正案(九)』では、汚職贈収賄犯罪の断罪量刑基準について、金額基準を取り消し、「金額が比較的大きい」、「金額が莫大」、「金額が非常に莫大」の三つを規定しているだけで、その他の情状をも総合的に考慮する傾向を強調している。その結果、個別事件に対する断罪量刑については、明確な基準がなくなった。

    最高人民法院、最高人民検察院が最近連名で『最高人民法院、最高人民検察院による汚職贈収賄刑事案件の処理における法律適用の若干問題に関する解釈』(以下『解釈』という)を公布し、計20条により断罪量刑の最低基準額を含む11つの内容を規定している。以下では、幾つかのキーポイントを紹介する。 

    国家公務員による汚職贈収賄罪に対する断罪量刑の最低基準額の明確化

    『刑法改正案(九)』では、1997年『刑法』で規定された汚職贈収賄罪に対する断罪量刑の最低基準額5000元という規定を削除した。『解釈』では、断罪量刑の最低基準額を3万元と明文化する一方、「その他の深刻な情状」という基準を追加し、即ち、「その他の深刻な情状」があり、金額が1万元以上である場合、刑事責任を追及することができる。

    非国家公務員による犯罪に対する断罪量刑の最低基準額の明確化

    非国家公務員による贈収賄罪、業務上横領罪における「金額が比較的大きい」、「金額が莫大」の最低基準額は、国家公務員による贈収賄罪、汚職罪に対する断罪量刑の最低基準額の2倍、5倍とする。

    資金流用罪における「金額が比較的大きい」、「金額が莫大」、「違法活動を行う」の最低基準額は、公金流用罪における「金額が比較的大きい」、「情状が深刻である」、「違法活動を行う」に対する断罪量刑の最低基準額の2倍とする。

    非国家公務員による贈収賄罪における「金額が比較的大きい」、「金額が莫大」の最低基準額は、国家公務員による贈収賄罪に対する量刑の金額基準の2倍とする。

    「他人のために利益を獲得する」状況の具体化

    『解釈』では以下の三つの状況を明確に規定している。(1)実際に他人のために利益を獲得し、又はそれを承諾する場合。(2)他人からの具体的な頼み事があると明らかに知っている場合。(3)職務を遂行する際に頼まれなかったが、事後にそれゆえ他人の財物を受け取った場合。