『中華人民共和国家庭内暴力防止法』が2016年3月1日から施行
中国初の『家庭内暴力防止法』は2016年3月1日から施行される。当該法律には、家庭内暴力の定義を明確にし、「家庭構成員による殴打、縛り、傷つけ、自由の制限、日常的罵り、恐喝などの方法により肉体的、精神的な侵害行為」は全て家庭内暴力に該当すると定めている。当該法律のキーポイントは下記の通りである:
強制報告制度。「学校、幼稚園、医療機構、住民委員会、村民委員会、社会工作サービス機構、救助管理機構、福利機構及びその職員」は、「意思無能力者、制限行為能力者」が家庭内暴力を受けていることに気づいた場合、適時通報義務を負う。通報義務を履行せず、深刻な結果をもたらした場合、直接責任をもつ主管者及びその他の直接責任者は法に従い処分を受ける。
軽い家庭内暴力に対する警告書制度。『家庭内暴力防止法』第16、17条によると、家庭内暴力の情状が比較的軽い場合、公安機関は加害者に対し警告書を発行することができ、それを加害者、被害者に送付し、かつ住民委員会、村民委員会に通知する。住民委員会等は関連加害者、被害者に対して実地調査、監督を行う。
人身安全保護令制度。当事者は家庭内暴力を受けた、又は受ける恐れがある場合、人民法院に対し人身安全保護令を申請することができる。人民法院は通常72時間内に、緊急事態の場合は、24時間内に保護令発行の要否を決定する。保護令の有效期間は6ヶ月以内で、取消、変更又は延長を申請することができる。
上述の制度が、確実に家庭内暴力防止の役割を果たすことができるか否かは、実務によって判断する必要がある。