結婚休暇のルール

    2014年2月、周さんは会社に結婚休暇を申請した。会社は周さんが晩婚(注記:2016年1月1日より『中華人民共和国人口と計画生育法修正案』の施行に伴い、晚婚奨励結婚休暇は取り消された)であることに鑑み、10日の結婚休暇を認めた。しかし、結婚してから間もなく、周さんは離婚した。翌年、周さんは再婚し、再び結婚休暇を会社に申請したが、会社はこれを拒否した。その結果、双方は紛争を起こした。
実務において、いかに従業員の結婚休暇日数を確定するか、また従業員が再婚等の特殊な状況下で結婚休暇を享受できるかなどの問題は、会社に見落とされやすいものの、紛争を起こしやすい。

    第一に、結婚休暇の日数について、国レベルの統一的な法律法令はまだ定められていない。江蘇・浙江・上海を含む殆どの省・市は、1980年に公布された『国営企業従業員の結婚・忌引休暇及び路程休暇問題に関する通知』の「1~3日の結婚休暇」という規定を参照し、3日の結婚休暇を適用している。また、一部の省・市は3日以上の休暇日数を規定している。例えば、『重慶市労働と社会保障局による企業従業員の結婚・忌引休暇の処理意見に関する通知』では、「5日の結婚休暇」を定めている。よって、結婚休暇の日数は、企業所在地の規定に基づき確定すべきである。一方,晚婚奨励結婚休暇の関連規定が取り消された後、各地では結婚休暇日数の関連規定を改正するか否かはまだ不明なので、企業は関心を払う必要があると思われる。

    次に、再婚の場合には結婚休暇を享受することができるか否かについては、実務において、一部の企業は、関連の規則制度に「当社では結婚休暇の享有は1回のみ」と定めている。しかし、このような規定には法的リスクがある。『労働及び社会保障部弁公庁による再婚従業員結婚休暇問題に関する返答』では、企業が再婚従業員に対し初婚従業員と同一の結婚休暇待遇を与えることを明確に定めている。従って、再婚者は結婚休暇を享受することができる。即ち、文頭の周さんの場合は、再婚に該当するため、企業はその結婚休暇を認めるべきである。
 
    第三に、結婚休暇には週休二日及び法定休日・祝日が含まれるか否か、または結婚休暇の使用期限や休暇を複数回に分けて使用できるか否か等については、国レベルの法律法令がまだ定められていないため、実務においても混乱を招いている。よって、企業の規則制度においてそれらのことを明文化しておくことを勧める。

    まさに「結婚は自由、結婚休暇は規則による」である。