『最高人民法院による民事審判監督手続における指令再審及び差し戻し再審の法による厳格適用に伴う若干問題に関する規定』が2015年3月15日より施行

    民事再審請求事件に基づく再審の種類は、提審(付注:再審を裁定する上級裁判所が審理することを指す)、指令再審(付注:再審を裁定する上級裁判所の指定する下級裁判所が審理することを指す)、差し戻し再審を含む。2008年最高裁判所『〈中華人民共和国民事訴訟法〉審判監督手続の適用に係る若干問題に関する解釈』の規定によると、再審は、原則として提審となる。しかし、司法実務において、指令再審は60%以上を占め、差し戻し再審の割合も高くなる傾向にある一方、原判決を破棄するケースは少なくなる傾向にあり、再審による誤判の是正メカニズムはほとんど機能していない。   

    上述の問題を解決するために、最高裁判所は、2015年2月16日に『最高人民法院による民事審判監督手続における指令再審及び差し戻し再審の法による厳格適用に伴う若干問題に関する規定』(以下『規定』という)を公布し、提審と指令再審の適用範囲を明確にしている。そのキーポイントは下記の通りである:

    裁判所が職権により再審と裁定した事件は一律に提審する。

    当事者により再審を申し立てた事件は原則として提審すべきである。最高裁判所、高級裁判所は、確定判決、裁定、調停書が第一審裁判所により下されたもの、また一方の当事者が多い、そのほか双方の当事者が公民であるなど四つの場合は例外として、指令再審を行うことができる。

    検察院の控訴により再審と裁定された事件は、控訴を受理する裁判所(付注:実際は上級裁判所である)が再審する。

    原判決、裁定は、原審裁判所が再審理により下したもの、及び原審裁判所審判委員会が検討し下したものであるなど六つの場合に、『規定』により指令再審の適用が排除される。

    又、『規定』では、差し戻し再審の適用基準を定め、「原審が認めた事実に誤りがある」ことを明確に排除し、かつ再審事件の審理範囲を下記のように拡大した。①控訴事件の審理範囲は検察機関の支持する範囲に限らない、②相手方の当事者が提起した判決変更請求は審理範囲に含められる。