ネット上の画像使用と著作権侵害

    企業は自ら又は他社に委託し、ウェブサイトや各種のPR資料の作成を行なう場合に画像を使用することが多い。これらの画像は、企業自体又は受託者で作成されるものを除き、そのほとんどがインターネット(例えば、百度図庫など)でダウンロードされるものである。
しかし、最近、華盖創意や北京全景視拓等の会社から相次いで提起された著作権侵害訴訟は、企業に警鐘を鳴らしていると言える。:被告は誰になるのだろうか?

    中国の『著作権法』の関連規定では、第22条で規定されている本人の学習、時事ニュース、科学研究など12類の「合理的使用」を除き、他人の著作物を使用する場合は著作権者の許諾を必要とし、著作権者に報酬を支払わなければならないと記されている。又、他人の著作物を使用する場合は、有償か無償かにかかわらず、いずれも著作者の氏名及び著作物の名称を明示しなければならない。
よって、企業が著作権者の許諾を得ずにウェブサイトやパンフレットにおいて画像を使った場合は、権利者の複製権、情報ネットワーク伝達権、署名権等の財産権(著作権)及び人身権(著作者人格権)侵害にあたる可能性がある。

    実務において、ウェブサイトに掲載される画像は、「転載禁止」と明記していない場合は自由に使用してよいと誤認している企業もあれば、企業が画像の使用により利益を獲得していないため、「合理的使用」に該当すると一知半解の企業もある。具体的な案件において、上述の解釈はいずれも裁判所の支持を得ないと思われる。「権利侵害を及ぼす可能性を意識せずに、検索エンジンにより画像を無料でダウンロードして使用したという被告の陳述には相応の証拠がない。且つ仮に被告が検索エンジンにより画像をダウンロードしても、被告は係争画像を使用する権利を有することを証明できない。また、被告のウェブサイトに掲載されている画像及び関連の文字内容はその会社業務についての紹介であり仮に非営利目的のウェブサイトであったとしても、特定の著作物を紹介・評論する、又特定の問題を説明するためにも、著作物において他人が既に公表した物を適切に引用したという状況に該当しない。」((2014)浦民三(知)初字第857号判決書を参照)。

    不必要な法的リスクを回避するために、企業はウェブサイトに掲載される画像の使用について予めリスクマネジメントメカニズムを構築すべきであり、下記のような対処が必要だと思われるが、それらの限りではない。

    一、社内コミュニケーション用の資料においてウェブサイト掲載の画像を使用する場合には、画像の出所と作者などの情報を明記する。

    二、ウェブページ又は広告の作成を関連業者に委託する場合には、契約において、合法的な出所による画像を使用すること、第三者の著作権を侵害しないことを委託先業者とあらかじめ示しておく;また企業が第三者に権利侵害責任を追及される場合は、委託業者がその責任権利を有することも明記しておく。

    三、画像に係る著作権を受け取る場合には、売り手に相応の著作権があるかどうかを予め確認する必要がある。また、締約時に売り手に対し画像の使用に関する授権書を求め、且つ関連する伝票及び取引記録を保管しておく。

    四、権利者不明の画像を使用する場合には、係る資料において声明を記載したほうがよい。例えば、「本資料に掲載される画像の著作権者の合法的な権益を尊重し、画像使用料の支払いのため、関連著作権者は当社へご連絡いただけますようお願い申し上げます。当社の継続使用を許諾しない場合は、当社は直ちに画像を削除いたします。」等。