WeChat(微信)のパブリックアカウントによる転載と著作権侵害
あるWeChatパブリックアカウントの運営者は別のパブリックアカウントの文章を無断転載したことで、裁判所により相手の署名権、翻案権、情報ネットワーク伝播権及び報酬獲得権を含む著作権を侵害したと認定された。被告は公に謝罪声明を発表し、且つ1元の損害賠償金を支払った。
WeChatの使用においてごく普通の転載行為はなぜ権利侵害行為と認定されたのか?合理的な使用と権利侵害の境界線はどこにあるのか?上述の問題がはっきりしないと、他人の権利を侵害したり、又は他人に権利を侵害されてもきづかいないだろう。
『著作権法』第10条、第48条、『情報ネットワーク伝播権保護条例』第2条等の関連規定及び司法実務規則によると、WeChatによる転載行為は合理的な使用に該当するのか、それとも権利侵害行為に該当するのかを判断するとき、主に下記の要素を考慮する:
1、転載主体がパブリックアカウントであるか否か。文章を個人のWeChatの「友人圈」に転載する場合において、受信者は限定されたグループである。これに反して、パブリックアカウントは不特定の多人数に情報を公布する基盤になり、ウェブサイトと類似する。パブリックアカウントを通じて公衆に対し著作物を提供することは実際に著作権者が享有すべき情報ネットワーク伝播権を行使することに相当する。多くのパブリックアカウントは個人が運営するものであるが、転載行為による権利侵害の本質は変わらない。その理由は転載情報の伝播基盤及び受信者が判断のカギになるからである。
2、転載時に著作者と出所を明記したか否か。『情報ネットワーク伝播権保護条例』第10条第2項によると、許可を得たか否かを問わず、転載時に著作者と出所を明記するものとする。そうしないと、著作者の署名権を侵害することになる。
3、転載時に修正を行ったか否か。許可を得ずに著作物を修正することは著作権者の翻案権侵害にかかわる。もし改変したことにより転載内容が著作物と異なった場合は、著作権者の著作物完全性保護権を侵害する。そのほか、『最高人民法院による情報ネットワークを利用して人身権益を侵害する民事紛争案件の審理における法律適用の若干問題に関する規定』によると、他人の氏名権、名誉権、プライバシー権等の人身権益侵害になる可能性もある。
実務において、多くの企業はWeChatパブリックアカウントを開設している。これらの企業は上述の要素を総合的に判断した上で、転載する際は、慎重に行うべきであり、自分の著作権が侵害されたことに気付いた場合は、WeChat等の公衆基盤サービスの運営支援業者に対し削除するよう求め、万が一相手が削除を拒否した場合は、訴訟により関連人員/企業の権利侵害責任を追及することが比較的合理的方法である。