設計図面*の法的保護方法
設計図面は形式上において点、線、面並びに各種の幾何学図形によって構成される図化表現であり、その実質は特定の技術考案を表現するものである。従って、設計図面の表現上の性質と本質的性質の二重性により、その法的保護方法も多様化する。
まず、設計図面の表現上の性質から見れば、著作権法の法定要件を満たした場合、著作権法による保護を受けることができる。中国の『著作権法』第3条に掲げられている著作物種類第(七)類では、「工事設計図、製品設計図」が明確に盛り込まれている。
但し、いかなる「工事設計図、製品設計図」も著作権法の保護対象となるわけではない。『著作権実施条例』第2条等の規定によると、著作権法でいう著作物とは、「独創性」があること、「複製することができる」という二つの条件を満たしていなければならない。設計図面において点、線、面並びに各種の幾何学図形によって構成される組み合わせは設計者本人に由来するものでなければならず、さもなければ、その独創的な表現を通じて「独創性」の条件を満たすことができない。ここでいう「独創性」はそれが表現する技術方案に関わらない。従って、設計図面において自由技術が体現され、特許法による保護を受けられない場合でも、設計者は当該設計図面の著作権を享有し、著作権法の保護を受けられる可能性がある。
注意すべき点は、設計図の著作権侵害における「複製」の判断基準に関して比較的複雑な問題があることだ。1991年『著作権法』第52条第2項には、「工事設計図、製品設計図及びその説明に基づいた施工、工業製品製造は、本法でいう複製にあたらない。」と規定されていたが、2001年『著作権法』の改正により、上述部分の規定が削除された。従って、司法実務において、立体的複製(即ち「工事設計図、製品設計図及びその説明に基づく施工、工業製品の製造」)は著作権侵害にあたるか否かについては、観点が一致していない。立法趣旨から見れば、『著作権法』の保護対象となる著作物も実用性の有無に関わらず、設計図面に基づき製品を製造された場合は、設計図面において最も重要な特徴である「独創性」及び「複製できる」は「実用性」に変換され、本質上技術考案の実施結果になる。従って、実務において、立体的複製の場合、後文に述べる特許権、又は営業秘密に基づく相応の法的保護を求めるほうがより自然で現実的な方法であるということになる。2001年著作権法改正後のいくつもの判決が、これを体現している。例えば、2002年「DBTEL v. MOTOROLA」事件において、裁判所は、「著作権法において、工事設計図、製品設計図の複製は、印刷、コピー、リメイクなどの形式による図面使用のみを指し、工事設計図、製品設計図に基づく施工、工業製品の製造は含まない。」と指摘した。
次に、設計図面の実質は特定の技術考案を表現するため、技術考案は法律に規定される条件を満たした場合、特許権又は営業秘密のいずれかのアプローチにより保護を受けることができる。
具体的には、技術考案が『特許法』の新規性、創造性、実用性の条件を満たした場合、設計者又はその他の権利者は特許を出願し、特許権を取得することができる。これにより、関連の設計図面において体現されている技術考案が他人により実施された状況下でも、特許権侵害について相応の主張を提起することができる。
又、設計者及びその他権利者は、ビジネス上での考慮、若しくはその他の原因により、特許出願をしない場合、営業秘密の要件に合致する関連設計図面について、『不正競争防止法』に規定される合理的な秘密保持措置を講じた状況下で、営業秘密侵害を理由に、相応の主張を提起することができる。
上述のことから、設計図面の設計者又はその他の権利者にとって、関連の設計図面が著作権法、特許法、営業秘密関連法律の要求に合致するか否かを判断し、相応の予防・保護措置を講じることが、権利が侵害されたときに有効に対応できるか否かにおいて極めて重要であるといえる。
*注記:本文の検討対象である設計図面は、製品、工事設計図面等の科学分野の設計図面に限り、著作権法第3条第(四)類に定められる「美術、建築による著作物」の設計図面を含まず、後者は美術著作物に該当し、その保護範囲や権利侵害の認定などにおいて前者と異なる。