『最高人民法院によるファイナンスリース契約紛争案件の審理の法律適用問題に関する解釈』が2014年3月1日より施行された

    ファイナンスリース業務が急速に発展している一方、『最高人民法院によるファイナンスリース契約紛争案件の審理の若干問題に関する規定』(法発〔1996〕19号)は時代遅れだと思われていた。今回公布された『最高人民法院によるファイナンスリース契約紛争案件の審理の法律適用問題に関する解釈』(以下、『解釈』という)では、ファイナンスリースの法律関係の判断基準、ファイナンスリース契約と売買契約との関係、賃貸者のリース物件所有権に対する保護問題などについて、具体的な規定を定めた。その目玉はおおよそ下記の通りである:

    「セール・アンド・リースバック」がファイナンスリース契約に該当する

    「セール・アンド・リースバック」が借入金抵当契約に該当するか、それともファイナンスリース契約に該当するかについては、実務において従来議論が多かった。『解釈』第2条は、貸借者と売り手との混同のみを理由としてファイナンスリースの法律関係の成立を否認する観点を否定し、セール・アンド・リースバック契約がファイナンスリース契約の性質を有することを認めている。

    売買契約とファイナンスリース契約との関係

    『解釈』では、売買契約とファイナンスリース契約との関係について下記の規定を定め、実務上の売買契約とファイナンスリース契約の效力関係の問題、契約解除の関係、並びにファイナンスリース取引における売買契約を起因する係争と損害救済問題を解決する。

    売買契約が無効となり、解除され又は取り消された、若しくは売り手の原因により、ファイナンスリース契約の目的が実現できない場合は、ファイナンスリース契約の解除が可能。

    前述の場合において、賃貸者はファイナンスリース契約の約定に基づき、或いは約定のない又は不明の場合、売り手及びリース物件が貸借者の選択によるものであれば、貸借者に相応の賠償を主張することができる。

    貸借者が売買契約及びファイナンスリース契約に基づいて直接売り手に対し、リース物件の受領、損害賠償など売買契約上の権利を主張した場合、賃貸者は当事者として訴訟に参加しなければならない。二つの契約によりその他の係争が発生した場合、法律上の利害関係を有する第三者は当事者として訴訟に参加することができる。

    賃貸者のリース物件所有権への保護

    リース期間中において、現実にリース物件を占有、使用している貸借者がリース物件を譲渡、抵当するリスクは客観的に存在すると思われる。よって、『解釈』では、下記の状況のいずれに該当する場合、第三者による善意取得の主張が認められないと規定している。

    賃貸者がリース物件の目立つ位置で表示をつけた場合;

    賃貸者が、賃借者にリース物件を賃貸者に抵当することを授権し、且つ登記機関で法に基づき抵当権登記を行った場合;

    第三者が法律、行政法規、業界又は地区主管部門の規定に従い、相応の機構でファイナンスリース取引状況を確認していない場合;

    賃貸者には、第三者が取引対象物がリース物件であることを知っている又は知りうることを証明できる証拠がある場合。