『労務派遣暫定規定』が公布され、3月により施行される

    広く注目された『労務派遣暫定規定』(以下では、『暫定規定』という)が、ついに公布され、2014年3月1日により施行される。『暫定規定』に定められる以下の四つの規定は、雇用者に対して深刻な影響を与えそうだ。

    雇用者が「補助的な職位」を確定する際の民主的協議・公示手続きの明文化

    『暫定規定』は、原則的に「補助的な職位」の決定権を会社に与えるが、『労働契約法』第4条とほぼ同じ内容の民主的協議及び公示の手続きを定めている。
雇用者にとっては、上記の規定は、実用的な規定であると言える。一方、派遣労働者の立場から見ると、会社の従業員代表大会又は労働組合に派遣労働者がいない場合には、民主的協議を経て確定された「補助的な職位」の客観性、合理性について質疑する余地があると考えられる。

    被派遣労働者数がその雇用総数の10%を超えてはならない。

    『暫定規定』は、それに対して2年間の過渡期を設け、又雇用総数の10%を超えている雇用者に、派遣労働者使用の調整案を所在地の社会保障行政部門へ届出するよう要求する。

    上記の規定について、雇用総量、労務派遣使用数を如何に判断するか、又は派遣労働者は、10%の上限を超えているどうかを如何に確認するかは、実務部門が一定の具体的な規則が定める必要がある。さもなければ、この問題は、実務上の紛争の焦点となる可能性が高いと思われる。

    派遣労働者の「同一労働同一報酬」の範囲について

    実務において広く注目された「同一報酬」に賃金以外の福利厚生が含まれるかどうかについて、『暫定規定』では、明確な規定を定めていない。その第9条では、「雇用者は、被派遣労働者に業務職位と関連する福利待遇を提供しなければならず、派遣労働者を差別してはならない」と定めている。一部の専門家は、上記の条文は、従来明文化されていない「同一労働同一報酬」に関する福利待遇の問題に対する補充的規定と見なすことができるとしている。しかし、当該条文に基づくと、差別禁止の範囲は、「業務職位と関連する福利待遇」に限定されているため、『労働契約法』第62条の規定と比べると区別がないではないかと考える。

    雇用者が派遣労働者を労務派遣業者に戻す条件が明文化された。

    注意すべきなのは、『暫定規定』第12条に定められている労働者を戻す条件を満たしているとしても、派遣労働者に「医療期間」中、又は「三期」中(付注:女性労働者が妊娠期、出産期、授乳期にあることを指す)等の状況があれば、雇用者は、依然として派遣労働者を労務派遣業者に戻してはならない。