電子商取引における「クーリングオフ」制度
黄さんは会社運動会のスポーツウェアを購入する際、会社の商標が浅い黄色であるため、オンラインショッピングで黄色のスポーツウェアを 50 着発注した。スポーツウェアが届いた後、黄さんは現物の色がイエローオークルで、ウェブサイトで示されていたものとちがう上、元々注文した色との違いも甚だしいことに気づき、返品についてネットショップの取引先と協議した。しかし、取引先は、スポーツウェア自体に品質不良がなく、且つ光線、設備などの原因により写真と現物との色の違いがあることをウェブサイトで声明したため、返却の要求を拒否した。黄さんは裁判所に訴訟を提起し、最終的に裁判所はスポーツウェア自体に品質不良がないとし、黄さんの請求を棄却した。
これは『消費者権益保護法』の 2013 年 10 月改正前に発生した数多くの事件の中の一つである。1993 年に公布された『消費者権益保護法』及びその関連法律、法規によると、購入した商品が『一部の商品の修理、交換、返却責任の規定』の対象商品に該当し、且つ品質問題がある場合にのみ、消費者は経営者に返却、交換又は修理させる権利を有すると明記されている。
インターネット、テレビなどの電子商取引の発展に伴い、映像と現物との差異や事前に商品に触れることができないために現物に対する感覚の違い(例えば、受け取った商品の色やサイズの差異、手触り又は組み合わせの問題等)などによる消費者の返品要求を起因する紛争は日増しに増えている。
これに対して、2014 年 3 月 15 日より実施される『消費者権益保護法』(以下『新法』という)では「クーリングオフ」制度を盛り込んだ。つまり、インターネット、テレビ、電話、通信などのオンラインショッピング方式で購入された商品に品質不良がなくとも、消費者は商品の受取日から 7 日以内に理由なしに「クーリングオフ」制度に基づき返品を要求することができる。
但し、消費者は、「クーリングオフ」制度を利用するには、以下の点に注意を払う必要があると考えられる。
第一に、購入した商品はクーリングオフの対象に該当するかどうか。新法では、特注品、生きている又は腐りやすい商品、オンラインでダウンロードされた商品又は消費者が開封した録音・録画製品、ソフトウェアなどのデジタル商品、発行された新聞、定期刊行物、及び商品の性質により消費者が購入時に返品できないと確認したその他の商品をクーリングオフの対象外としている。
第二に、新法によると「クーリングオフ」制度を利用する前提は「商品が完璧である」ことである。ここでいう完璧というのは包装、標識などの状態を含むか否かは、関連政府部門による具体的な判断基準を下すまではわからないと思われる。
第三に、返品にかかる費用は原則として消費者が負担する。但し、取引先と消費者との間に別途約定がある場合は、その約定に従う。従って、消費者は事前に関連の取引条件を真剣に確認する必要がある。
第四に、ショッピングの関連証拠を保存する。これは取引先との協議、「クーリングオフ」を利用する際に必要なものであり、また双方間で紛争が行った場合の交渉、又は訴訟に応対するための立証にも必要なものである。
そのほか、商品の性質又は約定などの原因により「クーリングオフ」の利用が難しい場合は、消費者の「知る権利」又は取引先の行為が虚偽の宣伝に該当する等その他の角度から自分の権利を主張することが考えられる。