個別従業員に対する「特別管理」は違法なのか?
張氏は大風会社より営業秘密漏洩という理由で辞退されたが、労働仲裁手続き及び訴訟手続きを経て、会社側の証拠不足で、裁判所により労働関係の回復を命じられた。張氏がもともと人事部長であったが、会社は彼女をその所属工場に配置した。又、彼女の仕事場にコンピュータや固定電話を設置せず、携帯電話も通じられず、また周りの壁に二つの監視カメラをインストールした。更に、一日で処罰通知書5通を発行して、一週間後再び張氏を解雇した。遂に、張氏は、会社が違法に労働契約を解除したことを理由に訴訟を提起し、法院は、張氏の請求を認め、会社に労働契約の違法解除による賠償金を支払うよう命じた。
会社が一方的に労働契約を解除できるのは、『労働契約法』第39、40及び41条の定める状況に限られる。その以外に、会社が一方的に労働契約を解除する場合は、労働契約の違法解除に該当する。仮に会社が法的解除理由のある合法解除と主観的に認識して一方的に労働契約を解除したが、関連の証拠でその法的解除理由を証明できない場合にも、労働契約の違法解除に該当する。
一般に、人事部長にとって、最低限で従業員の採用、教育、人事考課などの業務を担当するため、関連業務の遂行に必要な施設及び社内外の日常連絡に用いられる通信手段は必要である。しかし、本件において、大風会社は、労働関係の回復を命じられている状況下で、人事部長の張氏をその所属工場に配置して、彼女による社内外への連絡チャネルを遮断し、且つ他の従業員と異なり、彼女の仕事場の周りに監視カメラをインストールした。法律には、会社が従業員に提供すべき設備等について具体的な規定がないが、従業員に対する管理は、公平合理の原則に従わなければならないので、大風会社の行為は明らかに妥当ではないと思われる。
実際には、一回目の訴訟において、張氏は勝ったが、会社から認められなかっただけであるが、二回目の訴訟において、大風会社は、訴訟に負けただけでなく、会社のイメージにも悪い影響を与えた。よって、従業員の管理にあたって、会社は、法律に従う他に、公平合理をも十分に考える必要があり、さもなければ、個別従業員に対する「特別管理」は、良い結果が生まれないだろうと思う。