COVID-19世界中に拡大、外資系企業の対策ポイントは

新型コロナウイルスの感染拡大を抑制するために、春節連休の延長や操業再開の延期など一連の緊急処置により、中国では下火になりつつあるようだが、日本と韓国では危険が増し、欧米にも感染者が現れ、新型コロナウイルスは世界中で猛威をふるっています。

上記の状況下で、外資系企業にとって、新型コロナウイルスの対策ポイントは何でしょうか?

第一に、海外から中国への渡航

1、入国

3月1日国務院関係部門の記者会見における発言要旨によると、入国検査にあたって、「三査、三排、一転運」が実施されます。具体的には、まずは、①健康検査・申告、②体温モニタリング・異状検出、③医学巡査という「三査」を行います。それを踏まえて、逐一検査により発症が確認された場合、又は疫病発生の深刻な国や地区から渡航した、或いは感染者・疑似感染者との接触歴のる者に対して、流行病学に係る3項目の異状検出を行います。そして、異状検出により確認された①感染者、②疑似感染者、③発症者、④濃厚接触者(以下「4種対象者」という)に対して、移送、隔離、医療観察などの予防制御措置を実施します。

これに従い、対象者4種のいずれかが発見された場合、同航空機に搭乗したその他の搭乗客に対しても「移送、隔離、医療観察」措置を講じられる可能性があります。

しかし、懸念されるのは、対象者4種が発見された場合、同じ航空機に搭乗したその他の搭乗客について、対象者の座席近くの搭乗客のみ、それとも全員に隔離措置を行うかに関しては、現時点で明確な規定がありません。但し、疫病発生の深刻な国や地区から渡航される場合は、全員隔離される可能性が高いと思われます。

2、隔離ポリシー

入国者に関する隔離ポリシーについては、地方によって異なるが、概ね以下の3種類に分けられます。

(1)入国者(外国人を含む。下記同様)に対して、14日間の隔離観察を実施します。例えば、青島、大連、瀋陽等。

(2)日本、韓国、イタリア、イランなど、疫病発生の深刻な国から渡航される者に対して、14日間の隔離観察を実施します。例えば、北京、上海、広州等。

(3)入国者に対して特別な規定を定めていません。但し、入国者の住所の所在区又はコミュニテイでは、他の省・市から来る人員に対する隔離ポリシーがある場合、通常入国者にも適用されます。

3、宿泊

出張により中国に来る入国者は通常ホテルに泊まるが、現在一部のホテルは入国者を宿泊拒否し、ネットで事前予約したにもかかわらず、現場で拒否されるとのことがあるので、注意する必要がある。

そのため、中国に出張する予定がある場合は、入国者の宿泊可否について、事前に宿泊予定のホテルに確認するようお勧めします。

以上のことから、入国に伴う諸問題が予定のスケジュールに影響を及ぼさないために、事前に目的空港の所在市の疫病予防制御部門、ホテルなどへ具体的な政策を確認したほうがよいと思われます。

【 付表: 主要都市の入国管理政策及びお問合せ先一覧表 】。

第二に、多様な勤務形態に対する管理

今までの「中断」による企業の資金や後続業務などへの影響、および従業員に対する安全配慮などを総合的に考えた結果、多くの企業は、在宅勤務、交代勤務、時差出勤など、多種多様な勤務形態を実施しています。勤務形態によってそれぞれのメリット・デメリット、管理上の注意事項が異なります。

以下では、在宅勤務と交代勤務の管理上の留意点を概要に説明させていただきます。

1、在宅勤務管理

自宅で勤務する場合は、効率が悪く、出来高量が少なくなるなどの問題点が浮き彫りにされます。その根本的な原因は、殆どの人間は、正直なところ自立的に働けないので、制限を受けていない場合は、本能的に自由放任になります。殆どの企業が在宅勤務に対する管理を徹底してない側面もあります。

COVID-19の影響で、また時代の潮流に乗るため、将来、一部の従業員に在宅勤務してもらうことが一般的になるかもしれません。よって、企業の実情に合致する有効な在宅勤務管理メカニズムの構築のための課題に取り組む必要があると思われます。

在宅勤務管理メカニズムのポイントは、概ね以下のとおりです。

(1)始業・終業の時間要求を明確にすること。例えば、仕事を開始・終了する時に電子メール又はウィーチャットで上司に報告することで始業・終業時間を明確にします。

(2)任務及びその締切り日を明確にすること。例えば、職場の特徴に応じて、日又は週を単位に任務を手配する。任務遂行に数日又は数週間かかる場合は、毎日に又は1日おきに進捗を報告してもらいます。

(3)仕事上の問題について適時に報・連・相を行うこと。在宅勤務者が義務を履行しないことにより、問題又はリスクを引き起こす場合は、企業は適時、責任追及を行い、教育を行うことで、従業員に当該要求の重要さを再認識させ、仕事に集中するよう促さなければなりません。一方、管理職は、積極的かつ自主的に在宅勤務者と業務上の意思疎通を行い、監督管理の役割を果たすべきです。

(4)定期的又は不定期的なオンライン会議を行うこと。例えば、毎日朝礼を行い、従業員は、それぞれ進行中の仕事を取り纏め、管理職はコメント又はアドバイスを行うとともに、実情に応じて新たな任務を手配します。そうすると、従業員の士気及び会社への帰属意識を高め、競争心を持たせることにつながります。

(5)その他。例えば、会議に参加するための環境作りや服装に対する合理的な要求などを明確にすることが考えられます。

2、交代勤務管理

交代勤務の手配が不適切である場合は、業務推進に影響を及ぼし、又は従業員が不公平感を生じる原因になります。従って、交代勤務管理のキーポイントは以下の2つがあります。(1)業務推進に必要な部門、職場、職級の従業員及び関連職務。(2)業務推進を確保する前提下で、公平性・合理性を確保するために、類似の業務に従事する従業員たちをいかに手配すればよいのか。

なお、実務において、留意すべきことは、交差感染のリスクを低減するために、各シフトの出勤者を比較的に固定するようお勧めします。

第三に、BCMBusiness Continuity Management)体制の構築

2001年の9・11テロ事件、2003年のSARS事件、2008年の四川汶川地震……当面の新型コロナウイルスのような緊急事態が発生した場合、不安に陥り、途方に暮れる企業は数えられないほど多いでしょう。

災難が終息後、どのように事業を全面的に再開させるか、事件に遭遇する中で、どのように中核的業務を迅速に回復して継続的に推進するかなどの問題は、BCM体制から解決の糸口を見つけられると思われます。

BCM体制における業務回復の6Rモジュールによりますと、

(出所:中国情報化推進連盟事業継続管理専門委員会『業務継続管理(BCM)概説及び応用』)

企業は、BCM体制の構築にあたって、緊急事態のリスクを評価し、自社の業務形態や特徴などに基づいてビジネスインパクトを分析した上で、相応の対策を策定し、完全性のあるメカニズムを構築すべきであります。

BCM体制の構築は、形式だけではなく、また一時的なものでもなく、管理職及び従業員の関連意識に対する教育や訓練、および実践に基づいた改善なども含む継続的な過程であるべきです。

例えば、企業が既に有効なBCM体制を構築している場合、前述した海外から中国への渡航に関する問題について、各部署のBCM体制における役割から見れば、事態発生後に政策や動向を適時フォロー、フィードバックする部署もあれば、期限通りに業務を推進できない場合の予備案(必要となった場合での役割代替を図るため、事態発生前に実施された現地化、遠隔操作の可否確認などを含む)を提案する部署もあります。

最後に、災難は危機である一方、チャンスにもなるため、今回のCOVID-19が企業の発展推進のチャンスとなることを祈りします。