登録商標の三年間不使用取消審判を請求された場合、商標権者は如何に対処するべきか?

    『商標法』第49条の規定によると、登録商標が正当な理由なく継続3年間使用されていない場合、如何なる組織や個人も、商標局に対し当該登録商標の取消を請求することができる(以下、「登録商標の不使用取消請求」という)。つまり、商標権者にとって、商標登録が認可されたからと言って、永久に商標所有権を保有できるとは限らず、他人に登録商標の不使用取消を申請され、更に呑み込まれる可能性さえある。

    登録商標の不使用取消を申請された場合、商標権者は如何にして対処すべきか?

    上記の『商標法』の規定によれば、商標権者にとって2つの対策が考えられる。その一つは、登録商標の不使用に正当な理由があることを証明する。もう一つは、商標登録の公告日から3年間以内に商標が使用されたことを証明する。

    『商標法実施条例』第67条では、「正当な理由」に該当する4つの状況、不可抗力、政府の政策的規制、破産清算、商標登録者の責に帰すことのできない他の正当な事由、を列挙している。但し、これらは発生確率が低いので、正当な理由として殆どの案件に適用できない。

    従って、多くの商標権者は、商標登録公告日から3年間以内に対象商標が使用されたことを証明する必要がある。

    『商標法』第48条の規定によると、商標の使用とは、「商品、商品の包装?容器及び商品取引書類において商標を用いること、又は広告宣伝、展示及び他の商業活動において商標を用いることにより、商品の出所を識別するための行為を指す」。

    又、『商標法実施条例』及び『商標審査及び審理基準』の規定によると、商標の使用に関する証拠について主に以下のものが含まれる。取引に係る書類(契約書、領収書、商品本体、包装表示、商品輸出入検査検疫証明、税関申告書、商品目録、説明書、価格表などを含む)。新聞、定期刊行物、ネットワーク、テレビ、放送局などのメディア又はセルフメディアにおける宣伝、掲載。会社で作成される宣伝ビラ、パンフレットなど。電子メールなどを含む各種の広告宣伝。展示会、博覧会から提供された、対象商標を使用した印刷物及び他の資料など。

    実務において、関連証拠を集めるときは、以下のことに注意を払うよう勧める。

    第一に、商標が「商業活動」、即ち宣伝又は流通に用いられたか否か。通常、登録商標の不使用取消制度は、商標登録者による商標の使用を促し、商標としての機能を果たし、商標という資源の遊休や浪費を避けることが目的である。従って、商標が実質的に商品の流通に用いられ、商品又はサービスの出所識別機能を果たしたことを証明できる直接な証拠がなければ、当該商標の実質的な使用とは看做されない(詳細は(2016)京73行初4815号判決を参照)。

    第二に、当該商標の指定商品に関する取引記録のみを提出する場合、『商標法』における有効な商標的使用として認められない。例えば、(2016)京73行初5200号事件において、北京知財裁判所は、「代理販売契約書、注文書、出荷証明書、商標が表示されていない商品の写真、メーカーや産地など法律で強制されている情報が表示されていない実物の包装などがあるが、それ以外に裏付けられる証拠がなければ、商標権者の商標に対する実質的かつ有効な使用を証明するには不十分である。」と指摘した。   

    第三に、商標の使用許諾は、原則として商標の使用と認定されるものの、許諾行為だけでは、商標の使用と認定されない可能性がある。『商標審査及び審理基準』では、その旨の規定があり、裁判所も同様の観点を持っている。例えば、(2017)京行終2107号事件において、北京高級裁判所は、以下のことを指摘した。「登録商標を実質的に使用しておらず、登録商標の譲渡や使用許諾、又は商標登録情報の公布、又は登録商標専有権の声明のいずれかのみを行った場合、商標の実質的な使用と認定されない。」

    最後に、僅かな証拠だけで、例えば、広告物品、包装物等、又は数量の大変少ない取引書類など、商標的使用ではなく、名目上の使用と認定される可能性がある。従って、商標の使用に関する証拠を提出する場合、できる限り、相互に証明でき、なおかつ関連性がある複数の種類の証拠を提出することを勧める。

    当然、根本的な解決方法は、会社が商標登録を行うとともに、商標の実質的な使用を重視し、かつ使用に関するオリジナル資料やメールでのやり取り、画像、公証文書などを留保することにより、商標的使用に関する証拠を確保できると考えられる。そうすると、登録商標の不使用取消を申請されても、臨機応変に対処できるようになる。