ファイナンスリースVSオペレーティングリース
朱さんとY社はファイナンスリース契約を締結し、「朱さんが出資して設備を購入し、Y社に賃貸する。賃貸借期間が満了し、Y社が設備購入費及び賃料を全額支払った後、賃貸借の対象物の所有権はY社に帰属する。Y社が全額支払えない場合は、契約の条件通りに賃貸借期間を延長する。」ことを約定した。Y社が賃料の支払を滞っていたため、朱さんは裁判所に訴訟を提起した。一方、Y社は、「朱さんが金融業務許可証を取得していないため、契約は無効と認定されるべきである。」と抗弁した。一審裁判所は契約の有効性を認めたが、二審裁判所はこの契約を無効と判断し、金銭消費貸借関係として取り扱った。再審裁判所は、「契約は無効と判断するのは筋が通るが、金銭消費貸借契約と認定するのは妥当とは言えない。最高裁判所の司法解釈によれば、賃貸人と賃借人双方の過失により契約が無効となった場合は、賃貸借の対象物を返還の上、過失の割合によってそれぞれが相応の損失を負担し損害を賠償する。」と指摘した。
ファイナンスリース契約の最も重要な特徴は、賃貸人が金融管理機関の許可を得て、ファイナンスリース業務を専ら営む賃貸借会社でなければならない。さもなければ、契約は無効と認定されるリスクがある。オペレーティングリースは、賃貸人の資格について特別な要求はない。
それ以外にも、実務において、よく見られる問題としては、特定の賃貸借契約がファイナンスリース契約に該当するかそれともオペレーティングリース契約に該当するかについて、当事者の意見が一致しないため、契約履行上の紛争や会計処理上の問題である。
全体的に言えば、典型的なファイナンスリースとオペレーティングリースの特徴及び区別は下記の通りである。
第一に、当事者について、ファイナンスリース契約では、三つの当事者(即ち、賃借人、売出人、賃貸人)が存在するが、オペレーティングリース契約の場合、二つの当事者(即ち、賃貸人、賃借人)のみに係る。
第二に、賃貸借の対象物の所有権者が異なる。ファイナンスリース契約の場合、賃借人は自らの需要に応じて第三者(即ち、売り手)が所有する賃貸借の対象物を選定し、賃貸人は出資の役割を果たし、第三者は直接賃借人に対し賃貸借の対象物を引き渡す。オペレーティングリース契約において、通常、賃貸人はその所有に帰属する対象物を賃貸する。
第三に、賃貸借の対象物に係る瑕疵担保責任が異なる。ファイナンスリース契約において、瑕疵担保責任は賃貸人ではなく、売出人が負う。オペレーティングリース契約において、瑕疵担保責任は賃貸人が負う。
第四に、賃貸借の対象物に係るメンテナンスの義務者が異なる。ファイナンスリース契約において、賃貸借期間におけるメンテナンス義務は賃借人が負う。オペレーティングリース契約において、当事者に別途約定がある場合を除き、通常、賃貸借の対象物に係るメンテナンス義務は賃貸人が負う。
第五に、賃貸借期間満了後の賃貸借対象物の帰属先が異なる。ファイナンスリース契約において、通常、「賃貸借期間満了後の賃貸借対象物は賃借人の所有に帰属する」ことを約定する。オペレーティングリース契約において、賃貸借期間満了後、賃借人は賃貸借の対象物を返還するものとする。
但し、各当事者のニーズが異なるため、実務において、ファイナンスリース契約であるかそれともオペレーティングリース契約であるかを明確にしていなかったり、、又契約の条項についてファイナンスリースの特徴を反映している条項もあるし、オペレーティングリースの特徴を反映している条項もあるという非典型な契約がよく見られる。その場合、通常、裁判所は関連状況を総合的に勘案して判断することとなる。従って、契約の種類に対する判断結果の不確実性を避けるために、企業は契約を締結する際に、前述の特徴に基づき、契約のタイトル及び関連約定を明確にすべきである。
最後に、会計処理において、ファイナンスリースの場合は、固定資産として減価償却とすることが可能である。オペレーティングリースの場合は、直接、費用として経理処理する。従って、約定が不明確である場合、会計処理は税務機関に認められないリスクがある。