私用休暇日数を制限することができるか?
A社では一部の従業員が頻繁に私用休暇を取ることがあり、さらに1年間に私用休暇が累計60日以上になるケースもある。2015年、A社は『就業規則』の改正時に、「1年間に私用休暇が累計10日を超えてはならない。さもなければ、無断欠勤と見なす。」という規定を明確にした。陳さんは2017年に私用休暇が満10日に達している時に、親友の結婚式に出席することを理由に私用休暇を申請したが、拒否された。それでも、陳さんは、「私用休暇期間中は賃金が支給されないため、会社は私用休暇申請を拒否できない。」とし、3日休んだ。A社は3日間無断欠勤をしたという理由で陳さんとの労働契約を解除した。その結果、双方は紛争となった。
A社のように私用休暇日数を制限し、所定日数を超過した私用休暇申請を拒否することは認められるか?
実は、法律では私用休暇日数について明確な規定がない。企業経営の立場から見れば、従業員が頻繁に私用休暇を申請すれば、必ず企業の生産?経営に影響を及ぼす。又、私用休暇期間は労働の対価である賃金を支払う必要がないが、社会保険料、住宅積立金などは負担する必要があり、企業のコストは比較的、増える。従って、企業は経営自主権に基づいて、従業員の私用休暇に対して一定の制限を加えることができる。当然、その前提としては、企業が法に従い制定した規則制度には、私用休暇日数に関する規定が盛り込まれていることである。
1年間の私用休暇日数の上限については、絶対的な基準がないため、合理的か否かについての判断は社会通念によって決められる。従って、比較的安全な方法としては、多数の会社のやり方を参照することである。実務において、1年間の私用休暇日数の上限を10日又は20日としているケースがよく見られ、又1か月の私用休暇日数の上限を5日、1年間の私用休暇日数の累計上限を10日にするという二重制限を設定している会社もある。
では、企業は私用休暇日数を明確に制限していた場合に、所定日数を超過する申請を必ず拒否できるのか?
答えはそうではない。文頭の事例の場合、A社が陳さんの私用休暇申請を拒否したことは、問題にならないが、従業員の家族が重い病気にかかり、介護が必要になった、又は通勤途中突発事故が生じ、交通管制により従業員が正常に出勤できないなど特殊な状況下で、企業は従業員の私用休暇申請を承認すべきである。その場合、仮に企業は無断欠勤を理由に従業員に処分を行うとしても、処分行為の合理性について否定される可能性がある。よって、この問題を適切に解決するために、企業は以下の二つの面から手を打つべきと考えられる。第一に、規則制度において私用休暇日数の上限を定めるときに、「原則として」又は「特殊な状況を除く」などの前提条件を設定しておくことを勧める、そうすると、規定の合理性を示す一方、個別事件において柔軟に対応できる。第二に、関連規定を執行するときに、私用休暇に係る証拠物を慎重に審査し、条理にかなう場合は、私用休暇申請を承認するべきである。
最後に、従業員の虚偽の私用休暇行為を抑止するために、企業は出勤率を人事考課に盛り込み、奨励措置を活用し、従業員が全力で働けるように激励する。