技術輸入における対外支払いの留意点

    技術輸入における対外支払いは外貨管理のみに係るように見られるが、実際、中国では技術輸入について、分類管理や税務上の規制が定められているため、技術輸入における対外支払いを行う際に、分類管理と税務に係る規制を十分に考慮すべきである。

    全体的に言えば、技術輸入における対外支払を行うにあたり、主に技術輸入管理、外貨管理、税務管理の3点に注意を払うべきである。

    海外から技術を導入する場合は、まず、導入の対象となる技術の種類を把握しておく必要がある。関連法律によると、国は輸入技術を禁止類、制限類、自由類の3等級に分けて管理している。国内機関は、輸入の対象となる技術が『中国輸入禁止?輸入制限技術目録』に含まれているか否かを事前に確認すべきである。輸入制限技術に該当する場合は、商務部門にて技術輸入許可証を申請し取得する。輸入自由技術に該当する場合は、商務部門にて届出手続を行い、技術輸入契約登記証書を取得する。

    上述の二つの証書を対外支払でどのように適用されるかというと、従来の規定によると、1件当たりの対外支払い額が5万米ドルを超える場合は、輸入制限類技術について技術輸入許可証の提供、又輸入自由類技術について技術輸入契約登記証書の提供が必要とされていた。2013年9月より施行されている『サービス貿易外貨管理ガイドラン実施細則』(滙発[2013]30号)では、「1件当たりの対外支払い額が5万米ドル相当以上で、かつ輸入制限類技術の輸入について対外支払いを行う場合は、『技術輸出入許可証』を提供する」のみ規定されており、輸入自由類技術について規定を明確にしていない。

    『技術輸出入管理条例』では、輸入自由類技術の契約について届出を行う義務を明確にしているにもかかわらず、外貨管理部門による制限を設けていないため、実務において、一部の企業は届出義務を履行しておらず、又、契約作成時も、『技術輸出入管理条例』及び関連司法解釈における技術輸入契約の関連要求や制限について考慮していない。しかし、この考えと方法は大間違いである。現行『技術輸出入管理条例』では、制限類技術輸入の許可及び自由類技術輸入契約の届出について例外規定を定めていない。前述の企業のやり方では以下の不利やリスクを負うことになる。第一に、『サービス貿易等項目の対外支払いに係る税務届出関連問題に関する国家税務総局、国家外貨管理局の公告』(以下『国税2013年40号文書』という)等の規定によると、企業所得税の減免を申請できないという問題がある。第二に、現時点で対外支払いに支障をきたさないにもかかわらず、商務部門が契約の届出に対する管理又は事後監督を強化する場合に、企業は受動的な立場に立つことになること。第三に、税務調査を受ける場合は、契約対価の合理性、関連契約条項の適法性について質疑が行われる。従って、コンプライアンス経営の立場から見て、企業は自由技術輸入契約を締結するときに、関連法律規定の要求を慎重に考慮し、契約届出手続を適時行うべきである。

    最後に、技術輸入に係わる税務証明文書については、前述の『国税2013年40号文書』によると、技術輸入契約における金額が5万米ドル以上の場合は、所在地の主管国税機関にて税務届出を行い、『届出表』を取得した後、対外支払いを申請することができる。