おまけには「三包」責任が適用されるべきか?
張さんはテレビを購入した時に、デパートからおまけとして豆乳メーカーと扇風機一台ずつを貰った。その当日、張さんは、豆乳メーカーが使用できないことに気づき、デパートに対しそれを品質の良いものに交換するよう要求した。しかし、デパートは豆乳メーカーは無料で提供したもので、法律に定められる「三包」(付注:返品、交換、修理のことを指す)責任の対象に該当しないとして、返品することはできないと示した。その5日後、テレビに品質問題があったため、張さんは、テレビの返品を主張したところ、デパートは、商品返品の前提として、おまけも本来の状態で返却されなければならないとし、本件においては豆乳メーカーが使用できなく、また扇風機も開梱・使用されていたため、テレビは、交換又は修理しかできないと答えた。仕方がなく、張さんは、テレビの交換を選択した。
おまけならば、「三包」責任は適用されないのか?『消費者権益保護法』、『一部の商品の修理・ 交換・返品責任に関する規定』等の「三包」に関係する国レベルの規定において、おまけについて「三包」責任を適用することは、確かに明文化されていない。しかし、一部の地方の規定(例えば、『遼寧省消費者権益保護規定』)では、おまけについても「三包」が適用されると明確に規定している。では、地方の規定のない地区の消費者は、返品するのは無理なのか?その答えは、否定される。先ず、売買契約から言うと、消費者は、売り手の「Aを購入すれば、Bを贈る」という申込みの誘引を受け入れ、売買について売り手と合意した以上、「Aを購入すれば、Bを贈る」ということは、契約の構成部分として、売買の双方に法的効力がある。品質合格のおまけを交付するのは、売り手側の義務の一つである。従って、もしおまけに品質問題があり、且つ当該製品が「三包」対象リストにおける商品に当たる場合には、売り手は、「三包」責任を負うべきであると思われる。次に、贈与の角度から考えると、「Aを購入すれば、Bを贈る」ことに言う「贈与」とは、普通の贈与と異なり、相応の商品を購入することは、消費者がおまけを貰う前提条件(即ち、義務)となるため、『契約法』第191条に定められている「義務をつける贈与」に該当し、当該条項によると、「義務をつける贈与については、贈与される財産に瑕疵があるとき、贈与者は義務の範囲内において、売り手と同様の責任を負うものとする」。従って、仮におまけが「三包」の対象商品に該当しないとしても、瑕疵がある場合には、デパート(贈与者)は、商品の代金金額範囲内で売り手と同様の責任を負うべきである。また、瑕疵保証責任は、売り手の責任の一つであるため、消費者は、法によりデパート等に対して修理、交換、作り直し、返品、代金減少等違約責任を負わせることが出来る。
一方、本件においてデパートが主張した「おまけを返却してくれなければ商品の返品は受け入れられない」ことは、妥当であるのか?その答えは、絶対的ではない。前述したように、「Aを購入すれば、Bを贈る」ということは、契約の構成部分として、売買の双方に法的効力があるので、品質問題により商品の返品が必要となった場合に、双方が履行した義務は、「原点」に返す必要があり、売り手にとっては、代金を返却しなければならず、また買手にとっては、おまけを保有する前提条件は存在しないので、原則としておまけを返さなければならない。但し、おまけが使用又は消費により本来の状態で返すことができない場合は、売り手がそれを理由にして商品の「三包」責任を履行しないことは、関連の法律法規を明らかに違反し、実務において認められないと思われる。その場合、実務部門の通常のやり方としては、個別事件の状況によって、調停を通じて双方がおまけの返却又は価格について合意できない場合には、消費者におまけの仕入れ価格又は値引き価格でおまけを購入してもらうか、或いは一部の商品の返品が発生した場合には、返品の比率でおまけの数量及び相応の代金を計算する等である。
よって、消費者は、おまけがついた商品を購入する場合には、商品の品質問題により返品が必要となったときに、おまけの返却を巡る紛争を避けるために、「三包」の関連規定により決められるまたは双方が約定した返品可能期間内に、おまけをしばらく使用しないよう勧める。